【Blender初心者】ノード無しで作れる!ガラスのショーケース | 広告用3DCG制作・建築CGパース・BIM・AI活用ならスペースラボ

【Blender初心者】ノード無しで作れる!ガラスのショーケース

2022.09.21

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こんにちは、Blender初心者ライターの米田梅子です。
初心者なりに培ったBlenderスキルを発信するこの企画、今回は「ガラスのショーケース」の作り方をご紹介します。
あわせて、マテリアルプロパティを活用した「オブジェクトをガラスのような質感にする方法」「光らせる方法」を、効果ごとにご説明。

かんたんなモデリングとマテリアル設定だけで作れるので、「ノードはまだハードルが高い……」と感じている初心者の方のステップアップにもあわせてどうぞ。

使用したBlenderのバージョンは「3.1」。レンダーエンジン設定はCyclesです。Eeveeでは方法が異なりますのでご注意ください。

※ご紹介する制作方法は、建築/プロダクトに則ったものではありません。ミニチュア感覚でお楽しみください。

この記事を書いた人自己紹介_米田梅子


なお、執筆にあたってスぺラボクリエイターの「いっちーさん」に監修いただきました。
記事の合間に一言コメントも頂いています。あわせてお楽しみください。
自己紹介_いっちー


▼目次
(1)ショーケースのモデリング
(2)ケース内のライトのモデリング
(3)マテリアル設定の前に
(4)【発光】 オブジェクトを光らせる設定
(5)【透過】 ガラス質感の設定
(6)まとめ

(1)ショーケースのモデリング

ショーケースと、ケース内を照らす照明のモデリングをします。美術館や博物館で使われていそうなシンプルなデザインです。
モデリングはばっちりだぜ!という方は【次の段落】まで読み飛ばしてください。

CGで作るショーケースのラフ画像。縦長の箱型ショーケースで、ケースの上側にはライトも設置する

こんな感じのシンプルなケースを作ります!

Blenderを起動したら、立方体メッシュがひとつ表示されています。まずはこの立方体で「ガラスパーツ」を作りましょう。
立方体を選択した状態でモードを[編集モード]に切り替え、[面選択]でオブジェクトの上下の面を選択し、[Xキー]で削除します。

blender作業画面。立方体の上下面を選択した状態

複数の面を選択する際は「透過表示を切り替え」(Alt+Z)を使うと選択がスムーズ

立方体の上下面が消え、筒状になったら[オブジェクトモード]に戻します。
オブジェクトは引き続き選択したままの状態で[モディファイアープロパティ]から[モディファイアーを追加]▶[ソリッド化]を選択。

「ソリッド化」を行うと、オブジェクトに厚みがつきます。

blender作業画面。「モディファイアプロパティ」から「ソリッド化」までの手順を図で説明
 


「オフセット」のチェックボックスの意味

・均一な厚さ……「ソリッド化」により、生成する厚みを均一にします。
・フィル……オブジェクトの表側と裏側、ふたつの間を埋めるメッシュを作成します。


[幅]
の数値を変えると、オブジェクトの厚みが変わります。ここでは[0.05m]に設定しました。

厚みの変化を比較した画像(左:幅 0m / 右:0.05m)

厚みの変化を比較した画像(左:幅 0m / 右:0.05m)


[S+Zキー]
でオブジェクトの縦幅を調整する。台座と、フタとなるオブジェクトを追加して組み合わせれば、ケースのモデリングはおしまいです。


【クリエイターからワンポイントアドバイス】
「ソリッド化」はとても簡単でいい方法ですね!
3DCGは、同じモデルでも幾通りもの作り方があります。そこが面白い部分でもあるので、色々なやり方を試してみるといいと思います。
たとえば、「ブーリアン」(※)の「差分」「(面内に)押し出し」で、似た表現ができそうだなと思いました。

※オブジェクトが重なっている部分に対して差分を行い、新しい形状を作成するモディファイヤー。

(2)ショーケース内のライトのモデリング

次はケース内に設置する照明器具の作成です。
このオブジェクトは、「光る部分」と「照明器具の土台」2つのパーツを組み合わせます。

まずは光る部分から。[Shift+Aキー]から[メッシュ:UV球]UV球を作成。

blender作業画面。球体メッシュを作成する方法を紹介している。

UV球を選択した状態で[編集モード]に切り替えたら、ポリゴンの下半分を[Xキー][面を削除]。

blender作業画面。作成したUV球の下半分を選択した状態。
blenderの作業画面。UV球の下半分を削除した状態を真横から表示している。
blender作業画面。UV球から作成した半球に、グリッドフィルで面を貼る方法を図で説明している。

編集モードのまま、選択モードを[辺選択]に切り替え。
空いた穴を[Ctrl+Fキー]▶[グリッドフィル]で埋めます。

blender作業画面。半球に面貼りを済ませた画像。

グリッドフィルで底面に面貼りした状態

きれいなメッシュにならない場合は、作業画面左下のボックス(画像左下)の[スパン]の数値を変えてみましょう。

blender作業画面。円柱メッシュを作成する方法を紹介している。


[Shift+Aキー]
から[メッシュ:円柱]円柱を作成し、[S+Zキー]で縮小。
おせんべいのように平たい円柱と、先ほど作った半球オブジェクトを合体しましょう。

余談ですが、「スナップ」機能を使うと設置が楽ちんです。目視で調整しようとがんばらなくても、ぴたっとくっつきます。
ヘッダーボタン中央にある磁石アイコンを選択。
磁石アイコン左のスナップ先からに切り替え、使用したいオブジェクトを選択した状態でG+Zキーで移動するだけ。

blender作業画面。スナップ機能の効果で、磁石のようにオブジェクトがくっつくようすをgif動画で説明している。

スナップ機能を使っているようすをgif動画にしてみました。水中に沈めて反発するビート板の動きを見ているようでおもしろい

これで完了でもいいのですが、半球をすこしつぶして、もう少し照明らしい形状にしましょう。
半球を選択した状態で編集モードに切り替え、プロポーショナル編集](Oキー)をオン。編集タイプはスムーズです。
オブジェクトの頂点部分を選択して[G+Zキー]で移動すると、表示された円に重なる部分も影響されて形が変わります。

 

blender作業画面。プロポーショナル編集を使って、オブジェクトの変形を行っているgif動画画像。

プロポーショナル編集を使っているようすのgif動画。ちなみに影響範囲はマウスホイールで調整できます

形の調整ができたら、[右クリック]▶[スムーズシェード]で表面をなめらかにします。

blender作業画面。スムーズシェード機能の説明。
blender作業画面。スムーズシェードによって表面がなめらかになったオブジェクト


スムーズシェード後に変な影が入ってしまった場合は、
[Ctrl+Rキー]で、オブジェクトの角にループカットをいれると改善します。

blender作業画面。スムースシェード後、変な影が出てしまった場合の対処法を説明。オブジェクト底面にループカットを追加している。

半球オブジェクトの下部と

blender作業画面。スムースシェード後、変な影が出てしまった場合の対処法の続き。オブジェクト底面にループカットを追加している。

円柱オブジェクトの上下にループカットをいれると……

blender作業画面。スムースシェード後、変な影が出てしまった場合の対処法の続き。いらない影が消えて、フラットな印象になったオブジェクト。対処前との比較画像。

影が消えてつるっつるに!

ショーケースと照明のモデリングはこれでおしまい。
次はマテリアル設定です。

【クリエイターからワンポイントアドバイス】
立体的なオブジェクトを選択する際は、表示を「透過表示」に切り替えれば、デフォルトの表示方法では見えないうしろ側まで複数選択できます(Alt+Z)。「3Dビュー」のシェーディングを「ワイヤーフレーム」に切り替えても同じように見えない面を選択することもできますよ。
オブジェクト真横からのビューで編集する際に高頻度で使用します。

(3)マテリアル設定の前の準備

マテリアル設定による質感表現の前に、2つのかんたんな設定をしておきます。
ビューモードを[レンダープレビュー]に、レンダーエンジンは[Cycles]に変更。これだけ。

blender作業画面。マテリアル設定の前の準備設定について説明している画像。

これでリアルタイムでマテリアル変更の確認が可能になります

マテリアルの設定は[マテリアルプロパティ]から行います。

blenderの作業画面。「マテリアルプロパティ」アイコンの場所を示す画像。


マテリアル設定をしたいオブジェクトを選んだ状態で、
[プロパティエディタ]内、[マテリアルプロパティ]から[新規]を選択。
[サーフェス]一覧のさまざまな数値や設定を変えることで、色や質感を変えられるのです。

blender作業画面。マテリアルプロパティによるベースカラーの設定手順を画像で説明している。

[ベースカラー]を変更すると、オブジェクトに色がつきます。
これで土台部分に好きな色を設定しておきます。ここでは薄い黄色で色付けしました。

(4)【反射】 オブジェクトを光らせる設定 

照明器具を光らせます。
[サーフェス][放射]に変更。[強さ]の数値が大きいほど、光の強さが変わります。好みの大きさに変えましょう。

blender作業画面。サーフェスを「放射」に設定。オブジェクトが輝く。設定前後で比較している。

画像上が設定前、下が設定後。光りましたね

これをケースの中に設置すれば、照明器具は完成です。
なお、この方法は周囲への光の拡散(ブルーム)を表現できません。別途ノードでの設定が必要になります。

【クリエイターからワンポイントアドバイス】
ノードマテリアルを使用しなくても、マテリアル設定を変えるだけでリアルになりますね。ショーケースの場合、土台部分の「粗さ」を少しだけ下げてツヤ感を出してみてもいいかも!
粗さのデフォルト値は0.5です。これを0.2まで下げてみてください。この微調整でも質感が変わりますよ。
パース制作の場合でも、床の鏡面を強くするだけでもぐっとクオリティが上がります。
CGにおいて質感を出すことはとっても大事。質感が作品の仕上がりを左右するといってもいいでしょう。

(5)【透過】 ガラス質感の設定 

ガラスの質感を設定するには、[マテリアルプロパティ][サーフェス]から、[スぺキュラー][伝播](トランスミッション)の数値[1.0]に変えます。
あわせて、粗さの数値が[0]になっていることを確認。0以外の数値が入っていたら変更してください。

blender作業画面。ほぼ完成したショーケース風オブジェクトと、オブジェクトの質感をガラス風に変える設定の提示。

透明感がわかるようにケース内部にモンキーを入れ、さらに壁と床を追加しました

「スぺキュラー」「伝播」「粗さ」 3つのサーフェスの効果
・スぺキュラー……非金属の鏡面反射率を設定する項目です。 この値が大きいほど反射・光沢が強くなります。
・伝播……ガラスや水のような透明な質感を設定する項目です。この値が大きいほど透明感のある物体となります。
・粗さ……ツヤや映り込みを設定する項目です。この値が大きいほどツヤが消え、小さいとツルっとした質感になり、反射率が上がります。


このガラス表現は、角度や反射によって一部が黒くなってしまうことがあります。

その場合は[モディファイアープロパティ]から[ベベル]を追加設定すると緩和されます。

blender作業画面。ガラス風質感のオブジェクトにベベルをかけたあとの見え方の比較。

設定の追加により、モンキーと重なる部分に出ていた黒い線が消えた

別途[レンダープロパティ][最大バウンス数]の数値を大きくするのも有効です。

以上でマテリアルプロパティ設定は完了。レンダリングをかければ完成です。

作成したものをレンダリング後の画像。縦長のショーケース内にモンキーオブジェクトが入っている3DCG画像。

完成したショーケース


【クリエイターからワンポイントアドバイス】
お~完成イメージ通りでいいですね!ガラスのマテリアルの質感がとっても良いと思います!モンキーが展示されているのがシュールですね。

より雰囲気を出すために、背景に「HDRI」を入れてみてはどうでしょうか。
制作したオブジェクトに合うものをHDRI素材サイトで探してみてください!さまざまなロケーションのデータが揃っていて、今回のような美術館や博物館のような画像もありますよ。

オススメHDRI配布サイト:Poly Haven(外部リンク)
HDRIの説明は過去記事:【Blender初心者向け】マグカップをモデリングしてみよう

 

(6)まとめ

「ガラス」と「光」、ふたつの質感表現を使って、ショーケースを作成しました。
応用すれば、制作の幅が広がるでしょう。

ショーケースの数を増やして展示ルームを作ったり、ガラスのオブジェを作るのも楽しそうです。

この記事で紹介している「ショーケースの作り方」を活用して制作した作品例。室内にさまざまな形・サイズのショーケースを配置、ケース内にはモンキーが入っている3DCG画像。

アレンジしてモンキーコレクション部屋を作ってみました。ショーケースをたくさん並べるとそれらしく見えますね。

 

▼米田梅子が書いた記事
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