不動産業界のVR活用事例6選! | 広告用3DCG制作・建築CGパース・BIM・AI活用ならスペースラボ

不動産業界のVR活用事例6選!

2020.09.09

VR技術の実用化と不動産業界との親和性

VRは専用のゴーグルをつけることで、実際には存在しない立体的な映像を体験することができる映像技術です。センサによって見ている方向を検出してその方向の画像を表示します。これによってまるでその場にいるような臨場感を味わうことができます。

当初ゲームから応用がはじまりましたが、現在ではさまざまな分野での実用化がすすんでいます。ゴーグルはゲーム用として低価格化がすすみ、さらにスマートフォンを装着するフレームの出現によってビジネス領域での応用が拡がりました。

VR映像の制作ではリコーやGoProなど国内外で安価な全方位カメラが発売されていて、実写映像によるVRコンテンツの制作も容易になりました。これによって不動産業界など実用領域での活用がさらに拡がっています。

不動産業は販売や賃貸の対象物件を運ぶことができないことから、対象物件の情報を正確にエンドクライアントに伝える手段としてVR技術が注目されています。

建築物のVR映像作成

建築物は設計図面は平面図であるものの、デザインコンペをはじめエンドクライアントへの説明用や設計検討などのために立体的な建築パースを作成します。このため3Dモデリングとレンダリング処理などの3D-CG処理をおこなっています。

また設計工程でも3D CADの導入がすすんでいて、その場合にはさらに3Dモデルの作成はさらに容易です。この3DデータをもとにしてVR映像を作成すると、未完成の建築物であっても全方位が見渡せるような映像をつくることができます。

既存建築物の場合には、建築物のさまざまなポイントにおいて全方位カメラで撮影したデータを活用します。全方位映像から視聴方向の映像を切り出して表示することで、その建築物の様子をその場にいるかのように眺める映像になります。

 

不動産業界でのVR活用メリット

不動産産業では、売買や賃借の対象が土地や建物であり、また新築物件などでは取引の際には対象物件が完成していない場合があります。既存物件であっても探していく中では、地理的に離れた複数の物件を比較検討する必要があります。

契約にあたっては新築物件では図面やモデルルームなどで検討をすすめ、既存物件では現地を内見しています。この契約にあたっての作業は事業者、エンドクライアントの双方にとって負担の多い作業ですが、VRを活用することで双方にとっていくつものメリットがあります。

 

具体的で効率的なコミュニケーションが可能

不動産を探しているエンドクライアントは、最初の段階では不動産販売事業者のWebサイトや店舗で自身の希望に合致する不動産をリストアップします。このとき間取り図や説明などで探していくわけですが、感覚的な部分ではどうしても双方の理解にずれが生じやすくなります。

VRを活用することによって、間取り図などでは難しい空間的な把握が容易になります。説明する事業者側も映像に沿って説明することができるので、エンドクライアントの理解を得ることが容易になります。さらにエンドクライアントの希望や感想を具体的に聞き取ることが可能になります。 未完成の新築物件では説明だけで物件の内容を細部にわたって理解することは困難です。しかしVR映像を視聴することでエンドクライアントは現実感をともなって、説明を明確に理解することが可能になります。

 

関係者の間で物件イメージを共有できる

不動産物件は立体的あるいは空間的なものであり、間取り図や平面的な写真でその細部を理解するのは困難です。

最終的には実際の物件を訪れて内見しますが、気になった物件全てを内見するには大きな労力が必要です。 新築物件のように建物がまだない状態では、実際の物件を見ることができません。販売事業者はそれぞれの物件についてその内容を説明しますが、その説明からエンドクライアントが抱く物件のイメージが正確である保証はありません。

複数のエンドクライアントが同じ説明を受けたとしても、それぞれのエンドクライアントが抱く物件のイメージには相違が生じてしまいます。

このときそれぞれの物件についてVR映像が用意されていれば、全てのエンドクライアントが明確に物件のイメージを把握することができます。未完成の物件であっても、設計図面にもとづいたVR映像によって全ての人が誤解なく同じイメージを共有できます。

 

移動時間の削減による業務効率の向上

売買でも賃貸でも不動産物件を探すときには、条件に合致しそうな物件を内見します。販売事業者の営業担当者が同行して、物件について説明します。

物件を訪れるには移動する時間が必要であり、場合によっては内見の時間より移動時間の方が長いこともあります。多くの物件を内見したくても1日に回る物件数は限られています。

内見したい物件についてVR映像が用意されていれば、現地を訪れなくても物件を見ることが可能になります。地理的に離れた物件を自由に見比べて、短時間に多くの物件を比較することができます。

最終的には内見は必要ですが、VRでかなり細部までわかるので実際の内見は必要最小限に抑えることが可能です。物件の空間的なイメージを事前に確認するので、説明で抱いたイメージとの乖離が少なくなります。

 

VR映像を活用した不動産事業者の事例

不動産事業者によるVR活用は画一的ではなく、さまざまな形で取り組みがすすんでいます。VR映像作成やVRサービス提供の事業者も増えています。専門知識を持たない不動産事業者でも、VR導入のハードルは下がってきています。

 

未完成物件のVR内覧会

近鉄不動産では名古屋市の販売拠点において、未完成の新築マンションのVRによる内覧会を実施しました。一般に新築マンションは専有部分はモデルルームを用意して内覧をおこないますが、共有部分などは見ることはできません。

本件では専有部分の室内はもちろん、エントランスホールなどの共用部分やバルコニーからの眺望など竣工後のマンションの様子をVRで確認します。床材や壁材、扉の色などを切り替えることも可能で、モデルルームでは困難なオプション設定も体感することができます。

 

注文建築のVR設計

積水ハウスでは注文建築の建築前に、実際のプランにもとづいて作成されたVR映像を体験できるVR設計プランを展開しています。エンドクライアントは、最初に展示場において用意された豊富なプランのVR映像を体験したうえで、建築相談をおこないます。

エンドクライアントの設計プランが決まると、そのプランにもとづいたVR映像が用意され、建築前に設計プランを確認します。VR映像はスマートフォンにも対応していて、エンドクライアントはいつでも自分の設計プランのVR映像を体感することができます。

 

店舗における賃貸物件のVR内見

秋田県の秋田賃貸ナビ(秋田住宅流通センター)は店頭においてVRゴーグルを使い、担当者が説明しながら内見をすすめていきます。天井から床、部屋の隅まで見たい場所をしっかり確認しながら、担当者が物件の説明をおこないます。

 

中古販売物件のVR内見

中古物件の売買をおこなう長谷工の仲介では、一部の物件についてVRサービスを提供しています。対象の物件については、エンドクライアントがスマートフォンなどを使っていつでも自由にあらゆる角度から物件を確認することが可能です。

 

Webサイト上での販売および賃貸物件のVR内見

さいたま市のセゾンハウスでは、Webサイト上で物件の「360°VR内見」サービスを展開しています。

掲載されている物件は物件内を移動しながら全ての室内を内覧できます。室内は家具やインテリアが設置された状態なので、空室を内覧するよりも居住感覚がともないます。

このサービスはVRゴーグルは必要とせず、Webサイト上で全方位カメラの映像を閲覧します。

 

VR不動産案内コンテンツ

KDDIは、VR映像の中で仮想キャラクターであるバーチャルアテンダントが不動産を案内するコンテンツを開発していて、各種の展示会などで公開しています。

一般的なVRによる不動産案内は店舗で担当者が説明しながら映像を視聴するか、単にVR映像を提供するものがほとんどです。このコンテンツでは遠隔で仮想キャラクターのアテンダントが対応して、遠隔で会話などのコミュニケーションをとりながら説明します。

このコンテンツではアテンダントの説明を受けながらVR空間内を歩き回るだけでなく、壁や床の色の違いによる室内の雰囲気の違いを実感することができます。

 

まとめ

不動産業界ではVR技術の導入が急速に拡がりをみせています。全方位カメラが安価になったこともあり、多くの不動産事業者が既存物件のVR映像の作成に取り組みつつあります。

VRコンテンツ作成のサービスやソフトウェアも参入事業者が拡大していて、より違和感の少ないVRコンテンツの提供を目指しています。

さらに一部では新築物件でも、建築前にVR映像で内覧が可能になっています。これまで不動産業界において大きな課題でもあった内見の効率化に、VR技術が大いに役立つものと期待されています。

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