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VR制作で使用されるUnityとUnreal Engineの違いを徹底解説!
2020.10.25
建築業界におけるVRと開発ツール
建築物は一般的な工業製品のように持ち運ぶことが不可能であり、全体を見わたすことが困難な人工物です。新築物件の完成状態は、設計段階では図面上でしか確認できません。
しかしながら、未完成の建築物でも完成状態を視覚的に確認したいという要求は常にあり、そうした要求に応える手段としてVRの活用がすすんでいます。設計の確認や検証、作業者の教育訓練や景観シミュレーション、販売のためのプレゼンなど用途はさまざまですが、VRが活躍する場面が増えています。
VRを活用して設計図面を立体映像化することによって、建築物の完成形を簡単に確認できます。VR映像の作成には高度な3D レンダリング技術が必要ですが、3Dゲームエンジンのリアルタイムレンダリング機能を利用することで実現できます。
当初はゲーム専用に開発されてきたゲームエンジンですが、技術の高度化に伴って映画やCM映像などビジネス分野での応用がすすんでいます。
VR映像の制作も容易におこなうことができ、VRゴーグルを始めとした種々のデバイスにも対応しています。ゲーム市場ではさまざまなゲームエンジンが提供されていますが、VR映像やアプリ開発などの多方面で活用がすすんでいるのがUnityとUnreal Engineです。
最も多くのゲームで採用されているUnity
「Unity」はUnity Technologies社が開発したゲーム開発ツールで、2005年にMacOS X対応のソフトウェアとして誕生しました。
マルチプラットフォーム対応のゲームエンジンで、開発したコンテンツはさまざまなプラットフォームに容易にポーティングできます。対応するプラットフォームはスマートフォン、PCや各種ゲーム専用機以外にもブラウザやVRゴーグルなど数多く、世界で最大のシェアを誇るゲームエンジンです。
世界的な大ヒットとなった「ポケモンGo」もUnityを使用しています。開発ツールはWindows、MacOS、Linuxに対応していて、開発はC#言語スクリプトでおこないます。ライセンスは4種類あり、個人向けのPersonalは無料、企業向けはPlus、Pro、Enterpriseの3つがあります。
圧倒的な映像クオリティのUnreal Engine
「Unreal」などのゲームデベロッパーとして知られるEpic Gamesが、もとは自社用に開発したゲームエンジンが「Unreal Engine」です。
リアルでクオリティの高い映像に定評があり、ゲーム制作だけでなくNASAのコンテンツやウォルト・ディズニー・カンパニーの映画制作などで利用しています。
ゲームでは世界的に有名な複数の大ヒットゲームが使用していて、「最も成功したビデオゲームエンジン」としてギネス記録の認定を受けました。
Unreal EngineもUnityよりは少ないもののマルチプラットフォームに対応しており、スマートフォン、PC、ゲーム専用機、ブラウザやVRゴーグルなど多彩です。
ゲーム機能の開発にはブループリントスクリプトという機能を使い、プログラム言語の知識がなくてもゲーム開発をおこなうことができます。ライセンスは基本的には無料で、一定以上の収益が上がったときに5%のロイヤリティが必要となります。
それぞれのゲームエンジンの違い
VR制作ではゲームエンジンを利用することで、比較的容易にコンテンツを作成できます。VR制作でも使用されるゲームエンジンのうち、よく知られているのがUnityとUnreal Engineです。
どちらのゲームエンジンも映像制作やVRコンテンツの制作で活用されていますが、両者には異なる特徴があります。VRコンテンツの制作にゲームエンジンを使用するときは、各々の違いを理解したうえで目的に合致したプラットフォームを選択することが大切です。
Unityは導入が比較的容易
Unityはゲームエンジンとしての利用実績が多く、さまざまな関連コンテンツが提供されています。利用者が多いため書籍や情報量も格段に多く、学習や導入が容易です。
開発ツールもUnityの方がUnreal Engineよりも動作が軽く、開発のためにハイパワーなPCを用意しなくても開発をすすめることが可能です。
Unityの方がコンテンツが作りやすい
Unityのプログラム作成には、プログラム言語としてよく知られているC#を使用します。C#のプログラミング経験があれば、使い方をスムーズに習得可能です。
しかし、コンテンツの開発に必要な素材を作るためには大変な労力が必要です。Unityではアセットストアで豊富な素材やコンテンツを提供しているので、既存のコンテンツを活用して開発の手間を省くことが可能です。
例えば植木のような小さな素材には既存のコンテンツを活用して、コンテンツ制作の主目的である大規模な建築物に労力を集中できます。
美しいグラフィックが特長のUnreal Engine
コンテンツ映像のリアル感や美しさに定評があるのがUnreal Engineです。「Rogue One: A Star Wars Story」のような複数の大作映画で活用されており、非常に美しい映像をつくりだすことができます。
Unityもゲーム以外への活用が広がっていますが、完成した映像のクオリティではUnreal Engineに一日の長があります。さらにUnreal Engineではソースコードが公開されているので、プログラムの内部処理にも手を加えることが可能です。
映像コンテンツ制作に向いているUnreal Engine
Unreal Engineではリアルタイムレイトレーシングという技術によって、移動する光源に対応した映像を自然に再現できます。Unityでもリアリティの高い映像を出力できますが、品質はレンダリング後のポストエフェクトに依存します。
実写と見まがうほどのハイクオリティな映像制作では、Unreal Engineを使用しています。UnityはBay Maxのように全編CGによる映像での使用が主体です。
Unreal Engineはフル機能が無料で使える
Unityは個人向けライセンスは無料ですが、企業向けライセンスは有料です。一方、Unreal Engineには固定のライセンス料がなく、ゲーム制作で一定以上の収益を上げたときにロイヤリティが発生します。しかも、ゲーム以外の用途で使用した場合はロイヤリティが不要です。
Unityはライセンスによって利用可能なサービスのレベルが変わりますが、Unreal Engineではライセンスの区別はなく、常にフル機能を利用できます。たとえゲーム開発であっても開発段階では全く費用が発生しないというのは、利用者にとってありがたい仕組みです。
まとめ
建築業界ではさまざまな用途でVRの活用が広がっていて、制作するコンテンツの量も増加の一途です。VRのコンテンツ制作ではレンダリングやエフェクトなどの高度な3D CG処理が必要であり、それらの処理を容易におこなうためにゲームエンジンを活用しています。
コンテンツ制作への導入の容易さや情報の多さなどではUnityが優れていますが、映像のクオリティの点ではUnreal Engineに一日の長があります。
(画像はpixabayより)
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