建築パースで遠近感を表現できる「透視図法」はどんな種類がある? | 3DCG制作のスペースラボ - 広告パース 建築内観/外観パース BIMを手掛けるCG制作会社
建築パースで遠近感を表現できる「透視図法」はどんな種類がある?
2021.02.05
遠近法を活用した透視図法が建築パース制作の基礎
建築パースは平面上に立体的な建物を表現できる点が特徴といえます。それが可能であるのは「遠近法」を活用しているためです。
遠近法の一つに「透視図法」があります。透視図法とは2本以上の平行でない直線を引き、その直線が交わることで立体的に表現できる手法のことです。
透視図法は3種類に分けられます。それぞれの図法について理解すると、建築パースで表現する建物をより立体的に表現できることでしょう。
建築パースとは?
建築パースとは、パソコンの画面や紙面などの平面上に、建物の完成予想図を立体的に表現する手法のことです。
建築パースの「パース」とは「perspective(パースペクティブ)」を略したもので「透視図」という意味を持っています。
建築パースを作成するためには、建物の設計図のデータをパソコンで処理します。CG(コンピュータグラフィクス)を用いて制作すると、実際の建物と同じように精巧に表現されます。
なお、CGを利用して制作した建築パースは「CGパース」と呼ばれることがあります。
建物が実際には存在していない段階で、建物を目に見える形でわかりやすく表現することが、建築パースの特徴といえます。
建築パースがあることによって、建物の完成予想図は建築関係者だけでなく、建物を利用する顧客など多くの人たちが目にすることができるのです。
透視図法とは?
透視図法とは、平面上において遠近感を表現する方法のことです。
なお、透視図法は英語で「perspective drawing」と呼ばれますが、この中には建築パースに関連した英単語である「perspective」が含まれています。そのため、透視図法と建築パースはお互いに関連性が高いといえるのです。
透視図法で遠近感を表現するためには、平面上に2つ以上の平行ではない直線を引きます。平行ではない直線が2本以上並んでいると、人間の目は平面であるにもかかわらず立体的に感じる性質があります。
わかりやすい例としては、トンネル内の道路の画像があります。トンネル内の道路の画像を見ていると、道路の両端の線とトンネルの天井の線がトンネルの奥まで伸びているように見えます。 そして、道路の両端の線とトンネルの天井の線はトンネルの奥で一つにまとまるように感じられます。
そのような見え方によって、トンネル内の画像は平面上で表現されているにもかかわらず立体的になって見えるのです。
透視図法は3種類
透視図法の種類は、「一点透視図法」「二点透視図法」「三点透視図法」の3種類に分けられます。
透視図法においては、2つ以上の直線が遠くで一つにまとまる点のことを「消失点」と呼んでいます。
一点透視図法の場合は消失点が1つであり、二点透視図法は消失点が2つ、三点透視図法は消失点が3つあります。
これを踏まえたうえで、それぞれの透視図法の種類について説明します。
一点透視図法
一点透視図法とは、2つ以上の直線を引くことで図面上に立体感を表現する図法で、消失点が1つだけであるものを指します。建物を真正面から見た場合に使われるのが一点透視図法です。
先の項目で、平面上に表現されたトンネルの内部が立体的に見える理由は、道路の両端とトンネルの天井の線、合計3つの直線がトンネルの奥で収束するためであると説明しました。
この場合、トンネル内にある3つの直線の消失点はトンネルの奥となります。
そのほか、一点透視図法は、部屋の入り口に立って部屋の中を見た図を制作するときにも使われます。この場合は、天井の両端の直線と床面の両端の直線、合計4本の直線が収束するため、室内が立体的に見えるのです。
なお、部屋の中にある4本の直線の消失点は、部屋の中ではなく部屋の外となります。
二点透視図法
二点透視図法とは、2つ以上の直線を引くことで図面上に立体感を表現する図法で、消失点が2つあるものを指します。
消失点を2つにするためには、建物を斜めから見る必要があります。例えば、建物の外側にいて、建物の角が見える場所から眺めた場合の図を制作するときです。
その場合、建物の角の部分から見て左側にある建物上部のラインと建物下部のラインに注目します。この2つのラインは建物から離れた場所で収束し、消失点を持ちます。
また、建物の角の部分から見て右側にある建物上部のラインと建物下部のラインも、左側と同様に収束して消失点を持ちます。
そのため、建物を斜めから眺めると、建物の左側と右側に消失点が1個ずつ生じるため、合計で2個の消失点を持つようになります。二点透視図法では、平面上にあるものを斜めから見た場合に立体的に表現できるのです。
三点透視図法
三点透視図法とは、平面上において立体的に表現する方法のうち、消失点が3つあるものを指します。
消失点を3つにするためには建物を下から見上げるか、上から見下ろして見る必要があります。例えば、建物の外側にいる場合に、建物の角が見える場所にいて、下側から眺めたときの図を制作するとしましょう。
この場合、消失点のうち2つは二点透視図法と同様に左側と右側に存在します。もう一つの消失点は建物の上にあります。
建物を下側から眺めた場合、建物の柱にあたる部分が直線とみなされます。そのとき、柱は平行に見えないため、それぞれの柱を直線として伸ばした場合、建物の上の方で直線が収束します。その収束した地点が3つめの消失点となります。
一点透視図法と二点透視図法は、建物と目線の高さが同じであるために消失点は物体の上または下には生じません。
しかしながら、三点透視図法の場合は目線の高さは物体よりも上、または下となるため、それぞれの柱を結ぶ直線が平行ではなくなるため、それぞれが交わって3つめの消失点が生じるのです。
まとめ
透視図法は3種類であり、それぞれの透視図法を理解して使えれば、あらゆる角度から見た建物を立体的に表現することが可能となります。
一点透視図法のように建物を真正面からとらえて立体的に見せる方法もあれば、三点透視図法のように建物を下側、または上から眺めた状態で立体的に見せる方法もあります。 3種類の透視図法について理解し、それらの図法を使いこなして立体感のある建築パースの制作を目指しましょう。
(画像はUnsplashより)
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