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人気のレンダリングソフト V-Rayとは?

2020.11.13

V-Rayというレンダリングエンジン

「V-Ray」は、ブルガリアに本拠を置く「Chaos Group」が開発したレンダリングソフトウェアです。レンダリング処理だけをおこなういわゆるレンダリングエンジンと呼ばれるソフトウェアで、統合型の3D CGソフトウェアのプラグインとして動作します。

単独のアプリケーションとして使用することはできず、3Dのアニメーション制作や映像制作アプリケーションに組み込んで使用します。組み込む先の統合型ソフトウェアごとに製品が提供されています。

V-Rayはメジャーなレンダリングソフトウェア

V-Rayは主要な3D-CGソフトウェアに対応していて、多くのアーティストやデザイナー、建築家などが使用しています。レンダリングソフトウェアの業界標準ともいわれている、最もメジャーなレンダリングソフトウェアです。

対応しているMayaや3ds Maxなどの3D-CGソフトウェアは、どれもレンダリングエンジンを内蔵していて、V-Rayを使用しなくてもレンダリングをおこなうことが可能です。それでも多くのユーザーがさらに費用がかかるV-Rayを組み込んでいることからも、V-Rayのパフォーマンスの高さがうかがえます。

 

レンダリングとはどんな処理?

3D CGの話題の中ではレンダリングという言葉が多く登場するので3D CG専用の技術用語のように思われがちですが、実はもっと普遍的な処理のことをさしています。ひとことで説明するならコンピュータ内部のデータを、人間にわかりやすいように体裁を整えることをレンダリングといいます。

HTMLで記述されたWebサイトを、人が閲覧できるように表示することもレンダリングです。あるいはPostScriptで記述された文章を、DTPソフトウェアで成形することもレンダリングです。ビジュアルばかりでなく、MIDIデータから音源を使ってオーディオ出力することもレンダリングです。

3D CGの世界では3Dモデリングによってコンピュータ上に作成された立体図形を、ある視点から捉えた2次元の映像に変換することをさしています。このとき立体図形の形状だけでなく、表面の質感、光源そして陰影をつける処理などをおこなって映像を作成します。

3Dモデルのデータから映像を作成するためには複雑で膨大な演算処理が必要であり、CPUばかりでなくGPUによる処理を効果的に使用します。

 

リアルタイムレンダリングはどこが違う?

3D CGのレンダリング処理は複雑で大量の演算処理が必要であり、リアルで高精細な表現を追求すると処理に時間がかかります。一方ゲームやVRではユーザーの操作に従ってレンダリング処理を短時間でおこない、ユーザーの操作に対応して映像を出力する必要があります。

このようなインタラクティブな操作の間に、映像を切れ目なく処理して出力するレンダリングをリアルタイムレンダリングといいます。最新のPCでは画像処理用のGPUの性能向上が著しいので、GPUの性能を最大限に活用することによって高速のレンダリング処理を可能にしています。

特にオンラインゲームのように画面上の複数のキャラクターが操作されるようなコンテンツには、とても重要な技術です。UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンと呼ばれるゲーム制作ソフトウェアでは、リアルタイムレンダリングが標準で搭載されています。

映像制作においても待機時間が発生せず制作途中の確認が容易になるので、リアルタイムレンダリングの活用が一般的になってきました。

 

V-Rayの特徴と強みはその性能

3D CG制作に使用する統合ツールには標準でレンダリングソフトウェアが組み込まれているにもかかわらず、多くの利用者がV-Rayを組み込んで使用しています。これは多くのアーティストやデザイナーが、V-Rayの持つ特徴を認めているからにほかなりません。

 

GPUを使ったレンダリングが速い

V-Rayが支持される理由の1つが、GPUレンダリングの速さにあります。グローバルイルミネーションに対応しながら短時間で出力が得られるので、トライ&エラーのTATを短縮します。

これによって利用者はカメラアングルやテクスチャ、設定などを徹底的に追求することができます。V-RayはGPUとCPUのどちらでもインタラクティブレンダリングを実行できるので、微調整を容易にそして完全におこなうことができます。

 

出力のクオリティと共通性

レンダリングの出力にはノイズや不自然な部分があり、最後にレタッチによる仕上げ処理が必要です。レンダリングソフトウェアの性能や設定の未熟さによってはこのレタッチに多くの労力が必要になりますが、V-Rayの場合にはこのレタッチに要する時間が短いことで定評があります。

さらにグローバルイルミネーションに対応していて自然光や人工光源に正確に対応しているので、フォトクオリティのレンダリングを実現します。

また多くの3D CGソフトウェアに対応しているので、異なるソフトウェアを使っていてもV-Rayを使用することで、出力のクオリティを揃えることができるのも大きな強みです。複数の企業や作業者が異なる環境で共同作業をおこなっていても、同じクオリティの出力を得ることができます。

 

安価に導入できる

V-Rayは3dsMaxやMaya、ModoやSketchUpなど主要な3D CGソフトウェアごとに製品が販売されていて、対応製品によって価格は異なります。3dsMaxやMaya用の製品はV-Rayの中では高価ですが、それでも3DCGソフトウェアに比べるとかなり廉価です。

ライセンスは永久ライセンスのほかに1ヶ月あるいは1年のライセンスもあるので、専業でなければ必要に応じて利用することができます。さらにネットワークレンダリングやディストリビュートレンダリング専用のRender Nodeは、3D CGソフトウェア向け製品に比べると1/2以下の価格設定です。

 

リアルタイムレンダリングにも対応

V-Rayの製品にはゲームエンジンUnreal Engineに対応した、V-Ray for Unrealがあります。これによってV-Rayで制作したシーンを、そのままVRなどのリアルタイムコンテンツにすることができます。

3dMaxやMayaなどのV-Rayで作成したV-Rayのシーンを、ライティングなどの設定なども含んでUnrealにインポートしてUnrealで使用することができます。Unreal のVR対応機能などを利用することで、容易にリアルタイムレンダリングへの対応が可能になります。

 

日本におけるV-Rayの価格体系

V-RayはV-Ray for MayaやV-Ray for 3dsMaxなど、12の3D CGソフトウェアに対応した製品が販売されています。さらに設定機能を持たないネットワークレンダリングやディストリビュートレンダリング専用の、V-Ray for Render Nodeもあります。

それぞれの製品によって価格は異なっていますが、それぞれに永久ライセンスと月間ライセンス、年間ライセンスが設定されています。

Chaos製品の日本における代理店の1つ株式会社オークでは、最も高価なV-Ray for 3dsMaxの永久ライセンスを138,000円で販売しています。同じ製品の年間ライセンスが55,000円、月間ライセンスが9,400円です。

BIMソフトウェアのRevitに対応したV-Rayの場合は、永久ライセンスが92,400円と安価です。レンダリングのみをおこなうことができるV-Ray Render Nodeはさらに安価で、永久ライセンスが49,200円です。

 

まとめ

V-Rayは独立したアプリケーションではなく、3dsMaxなどの統合3D CGソフトウェアに組み込んで使用するレンダリング処理専用のプラグインソフトウェアです。

3dsMaxやMaya、Cinema4Dなど主要な3D CGソフトウェアのほか、BIMソフトウェアのRevitやゲームエンジンのUnreal Engineにも対応しています。

多くのデザイナーやアーティストに支持されていて、業界標準ともいわれる最もメジャーなレンダリングソフトウェアです。グローバルイルミネーションに対応したフォトクオリティの映像を高速にレンダリングできる性能を持ち、高品質な映像を短時間で作成することができます。

異なる3D CGソフトウェアを使用していても、同じ品質の映像を出力できるのもV-Rayが支持される理由です。価格も永久ライセンスだけでなく月間ライセンスや年間ライセンスが用意されているので、必要に応じて効果的に導入することができます。

 

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