VR、AR、MR、SR、XRとは?それぞれの違いや活用方法を解説! | 広告用3DCG制作・建築CGパース・BIM・AI活用ならスペースラボ

VR、AR、MR、SR、XRとは?それぞれの違いや活用方法を解説!

2020.12.25

一般家庭でもゲームを通してVRを体験できたりショッピング時にARを活用したり、より身近になりつつある空間技術。これらを活用したいと考えたとき、それぞれの技術の特徴や違いを知っておかなければなりません。

そこで今回はVR、AR、MR、SR、XRをピックアップし、違いやそれぞれの特徴を解説していきます。

XRはさまざまな技術を包含したもの

XRはExtended Realityの略で、さまざまな仮想空間技術や拡張空間技術を包括的に表しています。これまでに生まれてきた、次の空間技術の総称です。

・VR:バーチャルリアリティ(仮想現実)
・AR:アーギュメンテドリアリティ(拡張現実)
・MR:ミクスドリアリティ(複合現実)
・SR:サブスティチューショナルリアリティ(代替現実)

仮想空間技術や拡張空間技術は新しい技術であり、ハードウェアやソフトウェアの革新が次々にこれまでと異なる技術を生み出します。新しい技術はそれまでの技術の範疇を超えることが多いので、これらの仮想空間技術や拡張空間技術を包含する技術の総称としてXRという用語を用います。

 

XRは意外に長い歴史がある

最新の映像技術と位置づけられるXRですが基本的な概念は意外に古く、1962年にモートン・ハイリグが発表したThe Sensoramaがはじまりとされています。1968年にはアイバン・サザランドがHMDを開発して、VRが現実のものになりました。

その後コンピュータ技術の革新によって高度な映像技術が手軽に使えるようになり、HMDの低価格化がすすみました。スマートフォンの普及と高性能化がすすみ、ARのためのライブラリARToolKitが使えるようになると、多くのARコンテンツが市場にでるようになりました。

ARやVRが身近になるにつれ、さらに現実映像とCGをシームレスに共存させる高度な技術開発がすすみ、MRの実用化やSRの提案に結びつきました。

 

VR、AR、MR、SRそれぞれの特徴

XRに含まれる技術であるVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)そしてSR(代替現実)は、すべてコンピュータ技術に支えられた映像技術です。どれもコンピュータ処理によって生み出された映像を現実のもののように感じさせますが、それぞれが異なる特徴を持っています。 これらの技術は厳格に区分けされたものではなく、技術と技術の境界に位置するものや複数の技術を融合したようなものが次々に生まれています。

VR(仮想現実)とは

CGでつくりだされた映像だけで構成された全方位立体映像で、VRヘッドセットを装着することでその映像の中にいるかのような体験ができます。映像のすべてのモデルはコンピュータ上にあり、実際の映像とは異なる映像世界をつくりだすことができます。

AR(拡張現実)とは

ARは、現実の映像にコンピュータによって情報やCG映像を重畳して表示する技術です。現実の映像に情報やCGによる映像を重ねることで、新たな価値を付け加えることができます。 たとえば実際の部屋の映像に家具の映像を加えて家具を配置した状態を見るというような使い方です。XR技術の中では最も親しみやすい技術で、ARの応用例としてはゲームのポケモンGoが有名です。

MR(複合現実)とは

MRは現実の映像とCGによる映像を組み合わせることで、視聴者に全く新しい映像体験を提供する技術です。現実の映像とCGの組み合わせという点ではARと似ていますが、より現実映像とCGが融合した映像をつくりだす技術です。 設計中の建築物のCG映像を建設予定地の実写映像に重ねて表示し、あらゆる位置や角度から完成時の様子を眺めることができるといった応用があります。

SR(代替現実)とは

SRは現在の世界に、記録した過去の事象を映像化して現在の映像と置きかえたり重畳したりして表示します。現実の世界から自然な流れで仮想的な過去の事象などを体験することができます。過去の事象を客観的に追体験するなどの応用が考えられています。

 

XRに含まれる技術の活用事例

XRが包含するそれぞれの仮想空間技術あるいは拡張空間技術は、すでにさまざまな事業において実用化あるいは実験的な応用がおこなわれています。

 

VRの活用事例

VRの活用が最もすすんでいるのはゲームです。Playstation VRやOculusなどのVRヘッドセットに対応したゲームが数多くリリースされています。実用的な活用事例では教育、訓練分野での活用がすすんでいます。

明電舎は工場内での作業中に発生する労働災害を、VRで体験することができるコンテンツを研修に活用しています。実際に体験してみることができないような事故や災害を体感することで、作業者の安全意識を向上させることがねらいです。

大林組のVRiel(ヴリエル)はBIMデータをもとにしたVR映像を使うアプリケーションです。実際の建築物における鉄筋配置の不具合を探すという作業を、実物を使わなくても体験できます。 ブライダル業界においてもVRの活用がすすんでいます。ブランニングの段階で、遠隔地の式場選びに多く活用されています。

海外や歴史的施設などでの挙式を検討するとき、式場をあらかじめ下見することは困難です。そこでVR技術で式場のコンテンツを用意することで、利用者に式場の下見と同様な体験を提供します。打ち合わせのときにもVRでの映像を共有することで、スムーズな打ち合わせが可能になります。

 

ARの活用事例

ARという技術をポピュラーにした活用事例が任天堂のゲーム「ポケモンGo」です。AR技術によって世界中の多くの人を虜にしました。さらにAR技術は数多くのビジネス分野において活用がすすんでいます。

国際物流大手のDHLではピッキング作業者が装着したGoogle Glassに作業指示を投影することによって、作業の効率化を実現しています。

戸田建設はタブレット端末の現場映像に建設機械の3Dモデルを表示して、建設機械の搬入や動線を事前にシミュレーションしています。

COCOARは不動産情報誌における、ARコンテンツサービスを展開しています。不動産情報誌の間取り図にARアプリをかざすことで、室内の様子を動画やスライドショーで表示して物件をわかりやすく紹介します。

 

MRの活用事例

MRではシースルータイプのヘッドセットを使用することで、現実の中に仮想映像を表示することを可能にします。実際の活用事例としてはData Meshというコールセンター・バーチャライゼーションがあります。

一般の工業製品のコールセンターでは問い合わせに対して、オペレーターが実際の製品を使いながら説明をおこないます。コールセンターには取り扱う製品を用意する必要があり、テレワークは困難です。

Data Meshでは目の前に3Dモデルで再現表示された製品の映像を確認しながら、オペレーターが問い合わせに対応します。実際の製品を用意する必要がないので、場所を選ばすに数多くの製品に対応したコールセンター業務が可能になります。

 

SRはまだ発展途上の新しい技術

SRは新しい技術であり実際のビジネスでの活用はこれからですが、開発元の理化学研究所において実験的な体験パフォーマンスが実施されています。

体験者が装着した専用のヘッドセットに、目の前の実際の映像と少し前に記録された映像を切り替えて、あるいは重ねて表示することができます。

現実のパフォーマンスと過去のパフォーマンス映像をシームレスに切り替えたり重ねて表示します。少人数のパフォーマンスでありながら、頻繁な映像の置きかえや重畳によって複雑な演出が可能になります。 専用のヘッドセットを装着した体験者は、現実の映像と過去の映像が入り交じりどれが現実であるかの認識が難しくなります。

 

まとめ

CG技術を活用した仮想現実や拡張現実の技術をまとめて、XRと呼んでいます。XRにはVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)が含まれていて、今後の技術開発によってさらに新しい技術が生まれる可能性もあります。

CG映像だけを使用するVRやCG映像を現実の映像に重ねるAR技術は応用がゲームからはじまり、専用のヘッドセットも低価格化がすすんでいます。

VRは研修や遠隔作業あるいは遠隔体験として多くの事業者が活用をすすめていて、ARは広告宣伝や遠隔の作業指示などでさまざまな業界で幅広く活用されています。

比較的新しい技術であるMRはコールセンター業務での活用がすすんでいて、コールセンター業務のテレワーク化を可能にします。SRは開発途上の技術ですが、現実映像と仮想映像をシームレスに切り替えることで新しい映像体験の可能性を示しています。  

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