【2026年版】建築パースという仕事 - 種類・費用相場・AI活用まで実務家が解説
【2026年版】建築パースという仕事 - 種類・費用相場・AI活用まで実務家が解説
2026.07.08
——25年、空間を「伝える」を追いかけて
この記事は、CGパース制作歴25年以上・累計3,000社/制作実績20万点超のスペースラボ代表が、建築パース(建築CGパース)という仕事の全体像を解説するものです。建築パースとは何かという基本から、外観・内観・鳥瞰・広告用といったパースの種類ごとの違い、制作費用の相場と予算の考え方、CGソフトの選び方、そして3DスキャンやAIを活用した最新の制作手法まで、現場の一次情報とともに掘り下げます。パースの発注を検討している設計事務所・不動産会社の方、これからCGパースを学ぶ方の両方に向けた内容です。
著者プロフィール
柴原誉幸(しばはら たかゆき)
スペースラボ株式会社 代表取締役 / iceberg theory holdings株式会社 代表
1978年三重県生まれ。神奈川大学建設学科在学中にCGと出会い、自作PCで独学スキルを習得。展示会デザイン事務所・映像ディレクターを経てニューヨークで店舗設計、国内でインテリアデザイン・建築設計を経験後、2009年にスペースラボ株式会社を設立。
CGパース制作歴25年以上。スペースラボは累計3,000社・制作実績20万点超を誇り、乃村工藝社・船場・丹青社・nendoなど国内トップクラスの内装設計事務所、久米設計・三菱地所設計・清水建設・JR東日本建築設計など大手建築設計事務所・ゼネコンとの取引実績を持つ。原宿・ハラカド(東急プラザ原宿「ハラカド」)や高輪ゲートウェイ駅周辺開発など話題の大型プロジェクトのCG制作も手がけ、建築ビジュアライゼーション業界で国内トップクラスの実績を誇る。
メタバース領域では、東京2020オリンピックに合わせて展開された「日本博」のバーチャル化プロジェクトをスペースラボが受託・制作(グループ会社のnewtraceも制作に協力)。学術連携では、大阪大学・伊藤雄一教授との共同AIアバタープロジェクトに参画するなど、アカデミアとの技術的な取り組みも進めている。
業界での発信にも積極的で、CG・映像業界の代表的メディアであるCGWORLD主催のクリエイティブカンファレンス(ボーンデジタル社主催)に登壇したほか、株式会社Too主催「design surf seminar 2024」(登壇レポート:Too公式メディアKviz)や「建築ビジュアライゼーションMeetUp」など、複数の業界イベントに登壇。近年は建設テック領域にも展開を広げ、3D現地調査DXサービス「現チョク」を軸に、東京ビッグサイトの「建設DX展+」出展者セミナーにも登壇している。技術面では、CG制作という高負荷な環境での検証事例として、サムスンSSDの導入事例(ITGマーケティング)にも取材・掲載された。日経ビジネス(2021年9月27日号)では「展示会をバーチャル空間で スペースラボがCG技術応用」として、建築パース事業とコロナ禍でのオンライン展示会(360 SPACE等)への展開が取材・掲載された。2021年にはiceberg theory holdings株式会社を設立し、グループ5社の代表取締役を務める。
著者・会社に関する参照先
スペースラボ 企業情報(取引企業・実績)|代表メッセージ|iceberg theory holdings|経歴プロフィール(社長プロ名鑑)
登壇・取材実績(外部エビデンス)
CGWORLD クリエイティブカンファレンス 登壇|design surf seminar 2024 登壇レポート(Too公式メディア Kviz/大阪大学AI連携にも言及)|サムスンSSD 導入事例(ITGマーケティング)|建設DX展+ セミナー登壇(PR TIMES)|インタビュー(港区民ニュース)|インタビュー(THE LOCALITY)|日経ビジネス「展示会をバーチャル空間で スペースラボがCG技術応用」(2021)
目次
- 建築パースとは何か
- 建築パースの主な用途と目的
- 昔と今の違い(BIM・DX・リアルタイム化)
- 外観パース
- 内観パース
- 鳥瞰パース
- 広告用CGパース
- フォトリアル表現
- 建築事務所と内装設計事務所からの依頼の違い
- パース制作費と予算感
- CGパースソフトの歴史と現在地
- 3Dスキャン・3DGSと周辺環境制作
- AI×CGのハイブリッド制作
- 見る力・感性・言語化の育て方
- AIの時代に生き残るデザイナーとは
第1章 建築パースとは何か
——「伝わった」と「わかりました」は、まったく違う
要点: 建築パースとは、完成した建物の姿を視覚的に表現し、設計者と施主が同じ空間を同じ解像度でイメージするための「共通言語」である。図面では伝わらない空間の広がり・光の入り方・素材の質感を一枚の絵に込めることで、施工前に認識のズレを解消し、完成間際の致命的な手戻り(数十万〜数百万円規模のやり直し)を防ぐ役割を持つ。
完成間際の「え?」が、すべてを物語る
ある現場での話だ。
施主とは図面のやり取りを重ね、良好な関係が続いていた。説明もした。理由も丁寧に話した。そのたびに「わかりました」という返事をもらっていた。
ところが、完成間際に施主が現場チェックに来た瞬間、こんな言葉が出た。
「棚って……もっと右にならないですか?」
図面上では何度も確認していた棚の位置。でも、実際に空間に立って初めて、施主は自分がイメージしていたものと違うことに気づいた。
その案件は予備予算があったため事なきを得た。でも、そうでなければどうなっていたか。修正費用は誰が負担するのか。設計者か、施主か。些細に見えるような変更でも、実際に物を作ってしまっている段階では、数万円で済めばいい方で、場合によっては数十万、数百万の話になることもある。
クライアントとの齟齬は、致命的になる。
私がCGパース制作を25年以上続けてきた中で、この構造的な問題を何度も目の当たりにしてきた。
なぜ「わかりました」が起きるのか
建築の図面は、設計者にとっては血の通ったドキュメントだ。平面図、立面図、断面図——それぞれが正確な情報を持ち、空間のすべてが読み取れる。
しかし、建築を専門に学んでいない人間にとって、図面はほぼ「暗号」に近い。2次元の線から3次元の空間をイメージするのは、訓練なしには非常に難しい。
それでも施主は「わかりました」と言う。なぜか。
悪意があるわけではない。説明を聞いて、なんとなくわかった気になっているのだ。頭の中でイメージしたつもりでいる。ただ、そのイメージが設計者のものと一致しているかどうか、お互いに確かめる手段がない。
この「伝わった気」と「本当に伝わった」の間にある溝が、完成間際の「え?」を生む。
パースは、その溝を埋めるための言語だ
建築パースとは、完成した建物の姿を視覚的に表現した図のことだ。
空間の広がり、光の入り方、素材の質感、天井の高さ——図面では絶対に伝わらないものを、一枚の絵に込める。見た人が「ああ、こういう感じか」と直感的にわかる状態を作る。
パースがあれば、施主は自分の言葉で意見を言えるようになる。「もう少し明るい感じにしたい」「この棚、もう少し右に動かせますか」——完成間際ではなく、設計段階でそれが言えるようになる。
施工に入る前に。物を作り始める前に。
それだけで、現場での「致命的な齟齬」は大幅に減る。
つまり建築パースは、きれいな完成予想図を作るためのツールではない。設計者と施主が同じ空間を、同じ解像度でイメージするための共通言語だ。
一枚のパースが、数百万円のやり直しを防ぐことがある。そう考えると、この仕事の意味が少し変わって見えてくるかもしれない。
第2章 建築パースの主な用途と目的
——「完成前に売る」時代の、パースの新しい役割
要点: 建築パースの用途は、大きく「設計確認」「営業・プレゼン」「完成前の資金調達」の3つに分けられる。近年はホテルや別荘などで、完成前のビジュアルを見せて投資家や購入者を集める使い方が広がっている。用途が変われば正解も変わり、設計確認では正確な再現が、資金調達では魅力を最大化する演出が求められる。
パースは「設計を確認する道具」だけではない
建築パースの用途と聞いて、多くの人がまずイメージするのは「完成予想図」だろう。確かにそれは正しい。設計者が図面では気づきにくい問題——設備配管の干渉、光の入り方、天井の圧迫感——を三次元で事前に確認する。これは設計確認としての、パースの最も基本的な役割だ。
次に来るのが、営業やプレゼンテーションの道具としての役割。コンペや案件獲得の場面で、クライアントに完成後の空間を魅力的に見せる。第一印象を左右する武器になる。
ここまでは、いわば「王道」の使われ方だ。
ただ、私がこの数年で最も面白いと感じているのは、それとはまったく別の使い方が生まれてきていることだ。
「まだ存在しないもの」で、資金を集める
きっかけは、業界で話題になったある動きだった。
最高品質のパースを使って、建物が完成する前に投資家を募り、事前に資金を集める——そういうビジネスモデルが登場したのだ。ホテルや別荘といった宿泊・滞在型の不動産で、完成前のビジュアルを見せることで出資者や購入者を集めていく。
これは、事業者のリスクを大きく減らす仕組みでもある。作ってから売るのではなく、売れる目処を立ててから作る。その要となるのが、パースなのだ。
面白いのはここからだ。この動きを業界の一例として眺めていたところ、問い合わせが増え、結局われわれ自身も別の会社から同じような案件を受けることになった。ホテルや別荘のパースを、投資家に見せて資金を集めるために作る。まさに、あの動きが自分たちのところにも波及してきたのだ。
この種のパースで、いちばんこだわったこと
こういった「完成前に人の心を動かして、資金を集めるためのパース」を作るとき、私が最もこだわったのは、意外に思われるかもしれないが、「リアルすぎないこと」だった。
もちろん、質感そのものはリアルに作る。素材の光沢、光の回り方、空間の空気感——そこは徹底的に作り込む。しかし、パースはどこまでいっても「まだ存在していないもの」を描いている。だからこそ、図面には描かれていなくても、依頼者が本当に表現したい世界観を、あえて誇張して描く必要がある。
目指したのは、見た人が一瞬で「行ってみたい」「住んでみたい」「出資したい」と思ってしまう表現だ。単なる正確な再現ではなく、リアルさを土台にした、リアル以上の魅力。
パースは、写真以上に「自由」だ
ここで少し、写真との違いに触れておきたい。
完成した建物を、ただありのままに写真で撮る。それでも「なんだか違う」と感じることがある。実物をそのまま写しても、必ずしも魅力が伝わるとは限らないのだ。
そこで写真家は、様々な技法を使う。アングル、光の捉え方、被写界深度で主題を際立たせる——現実を「そのまま」ではなく「魅力的に」写すために、あらゆる工夫を重ねる。
パースは、その自由度がさらに高い。
写真は、そこに実在するものしか写せない。しかしパースは、季節も、天気も、時間帯も、光の強さも、周囲の環境も、すべて自分で選んで作り出せる。カメラマンが使うあらゆる技法——構図、光、被写界深度による主題の強調——を使えるうえに、被写体である「世界」そのものまで、思いのままに設計できる。
つまりパースとは、カメラマンの技法と、世界を丸ごと創造する自由を、同時に手にした表現なのだ。だからこそ、環境の作り込みが決定的な意味を持ってくる。
建物の表現には、限界がある
ただ、ここで壁にぶつかる。パースは建物を描くものだが、建物そのものの表現には限界があるのだ。
法規や条件の都合で、建物の形にはどうしても制約がある。となると、人を魅了する力の多くは、建物ではなく、それを取り巻く環境の表現に委ねられることになる。
だからわれわれは、最適な環境を建物にまとわせる。
春夏秋冬のどれを選ぶか。雨か、晴れか、曇りか。夕方か、昼か、朝か。靄がかかっているか。日差しの強さはどれくらいか。夕陽なのか。空の色、雲の形——自然の要素をひとつずつ選び、組み合わせていく。
自然物もそうだ。森なのか林なのか。植物の種類。観葉植物、日本の木、外来種。海、湖、池、水たまり。ありとあらゆる自然の要素の組み合わせを考え抜いて、施主のイメージに最も近く、そして見た人が最も心を動かされる一枚を作り上げる。
一枚のパースの背後には、こうした無数の選択がある。建物を「正確に」描くのではなく、その建物がある世界を「最も魅力的に」立ち上げる。それが、完成前に人の心を動かすパースの正体だ。
リアルではない。でも、リアルでなければならない
ただし、ここに大きな落とし穴がある。
自由に環境を作れるからといって、現実からかけ離れた表現をすると、今度は「違和感」が生まれてしまう。人の目は、リアルとの矛盾に驚くほど敏感だ。光の当たり方がおかしい、影の向きが合っていない、素材の質感が空間と噛み合っていない——そういった小さなほころびを、見る人は無意識に察知する。そして一度違和感を覚えると、どんなに魅力的な構図でも、その絵はもう信じてもらえない。
だからこそ、リアルな作り込みが絶対に必要になる。
ここが、この仕事のいちばん難しいところだ。
リアルに作らなければ、絵は嘘っぽくなる。でも、ただリアルなだけでは、人の心は動かない。求められているのは、リアルという土台の上に立った演出だ。徹底的に作り込んだリアリティの上に、魅せるための誇張を、破綻しないぎりぎりのバランスで乗せていく。
「リアルなんだけど、リアルではない」——この矛盾した表現を、どう成立させるか。言葉にすると簡単だが、実際にやろうとすると、これがとてつもなく難しい。われわれは、この矛盾と向き合いながら、一枚一枚パースを磨いていく。
用途が変われば、正解も変わる
こうして見ていくと、ひとつのことに気づく。
設計確認のためのパースなら、正確な再現が正解だ。しかし、資金を集めるためのパースなら、魅力を最大化する誇張こそが正解になる。同じ「パース」という言葉で呼ばれていても、目的が変われば、目指すべきゴールはまったく違う。
「何のためのパースなのか」。
この問いに答えられるかどうかが、実は制作者にとって最も重要な出発点なのだ。この視点は、これ以降の章でも繰り返し登場することになる。
第3章 昔と今の違い
——「待つ、待つ、地獄」の時代から、リアルタイムの時代へ
要点: 建築CGパースの制作環境は、1枚のレンダリングに1週間〜1ヶ月かかった1990年代から、リアルタイムレンダリングの時代へと大きく進化した。2014年のUnreal Engine 4登場を経て、現在はTwinmotion・D5・Unreal Engine 5などのリアルタイムエンジンが実用段階に入り、「速さ」と「美しさ」を両立できるようになっている。ただし、BIMを含めどの技術も「現場で本当に工数を減らせるか」という目利きが不可欠である。
右手に説明書、左手に3DCG
私が建築を学ぶ学生だった1990年代の終わり、CGはまだ、ほとんど誰も手を出していない領域だった。
建築学科にいても、CADで製図する人すら少なかった時代だ。CGとなると、なおさら扱える人間はいなかった。
私が研究室に入ったのは大学2年のとき。誰よりも勉強しようと思って、活気のある研究室の扉を叩いた。そこには、率先してCGを使っている先輩たちがいた。その姿が、私の原点になった。
きっかけは、実にシンプルな動機だった。授業では設計課題が出るたびに、パースの提出を求められる。その課題で優秀賞をもらうにはどうすればいいか——そう考えたときに、「CGでかっこいいプレゼンをしよう」と思いついたのだ。今思えば、これが私のCG人生の出発点だった。
とはいえ、CGだけを学べばいいわけではない。CADで図面を引き、CGで立体を起こし、その後の仕上げにPhotoshopを使う。一連の流れをすべて覚える必要があった。
私は研究室で、右手にMiniCAD(現在のVectorworks)の説明書を持ち、左手で相性の良かった3DCGソフトを操りながら、独学で技術を身につけていった。恵まれていたのは、その研究室がこうした取り組みに理解があり、設備を惜しみなく整えてくれたことだ。パソコンも何台もあった。今振り返っても、本当にいい環境だったと思う。
貧乏学生と、電気屋のオリジナルPC
もっとも、環境に恵まれていたとはいえ、自分のパソコンとなると話は別だった。
CGをやるには、自分のマシンが欲しい。でも、当時の私はパソコンを買う余裕などない貧乏学生だった。
困っていたところ、研究室の先輩が「安くパソコンを買える方法がある」と教えてくれた。いわゆる組み立てパソコン——電気屋さんがオリジナルで組んで売っている、メーカー製ではないマシンだ。私が最初に手にしたのは、聞いたこともない電気屋のパソコンだった。
余談だが、この経験がきっかけで、私はその後メーカー製のパソコンを買うことはなくなった。むしろ自分でパーツを選んで組む、自作パソコンの道に進んでいくことになる。CGという重い処理と向き合い続けるうえで、この「マシンを自分で理解する」感覚は、後々まで生きることになった。
レンダリングという名の、待ち時間の地獄
当時のCG制作を語るうえで、避けて通れないのが「レンダリング」だ。
レンダリングとは、作った3Dデータを一枚の絵として計算・出力する工程のこと。今でこそ短時間で終わるが、当時はこれが、とにかく時間がかかった。1枚のパースに、1週間から1ヶ月かかることさえあった。
その間、何ができるか。答えは「何もできない」だ。
ただひたすら、待つ。待つ。そして、もし途中でミスに気づいても、やり直すしかない。また一週間、待つ。地獄だった。
しかも、無事に終わる保証すらなかった。パソコンの性能が原因で、途中で計算が止まってしまうことも珍しくなかった。当時のマシンのメモリを思えば、当たり前の話だ。今のスマートフォンにも遠く及ばないスペックで、あれだけの計算をさせていたのだから。データの受け渡しにMO(光磁気ディスク)を使っていたことも、今となっては懐かしい。
時代の変わり目に、独学でCGを学んでいた
面白いのは、この時期がちょうど、世界が大きく変わろうとしていたタイミングと重なっていたことだ。
Facebookが登場し始めた頃。「Googleという、やたら速い検索エンジンができたらしい」という話をリアルタイムで耳にしていた頃。インターネットが世界を変えていく、その入り口に自分たちは立っていた。
そんな時代の変わり目に、私は研究室にこもって、独学でCGを学んでいた。誰も教えてくれる人はいない。教科書もない。あるのはソフトの説明書と、試行錯誤する時間だけ。それでも、新しい技術に触れているという実感が、確かにあった。
「作れる人が、ほとんどいない」
この頃、大手ゼネコンから依頼をもらうことがあった。そのときによく聞いたのが、「CGを作れる人がほとんどいない」という話だった。
「学生の方がゼネコンよりCGを扱えた」と言うと少し大げさかもしれない。しかし、それに近い逆転現象が、確かに起きていた。巨大な組織よりも、新しい技術に飛び込んだ一人の学生の方が、CGという道具を使いこなせる。そういう時代だったのだ。
この原体験は、今の私の仕事観の土台になっている。新しい技術は、いつも「まだ誰もやっていない」場所から始まる。そこにいち早く飛び込んだ者が、次の時代の担い手になる。CGがそうだった。そして今、AIやBIMをめぐって、同じことがもう一度起きようとしている。
2014年、Unreal Engine 4の衝撃
「昔の地獄」を経験した私にとって、2014年は忘れられない年になった。リアルタイムエンジン、Unreal Engine 4の登場だ。
衝撃は二重だった。ひとつは、その仕組み。何時間もかけてレンダリングしていた絵が、一瞬で表示されてしまう。あの「待つ、待つ、地獄」を知っている人間からすれば、魔法のような技術だった。もうひとつは、その提供のされ方。サブスクリプション、しかも実質無料で使える。それまで高価なソフトを揃えなければ入れなかった世界の扉が、いきなり開かれたのだ。
ただ、正直に言えば、衝撃がそのまま実用に直結したわけではなかった。Unreal Engine 4の頃は、一枚の絵を出すこと自体は速くても、設定やデータの調整に手間がかかり、トータルの制作時間で見ると、まだ従来のプリレンダリングの方が早かった。「すごい技術だ」と「現場で使える」の間には、まだ距離があったのだ。
買収がもたらした、作業効率の飛躍
流れが本当に変わり始めたのは、Unreal Engine 5の頃からだ。設定が扱いやすくなり、ようやく実務で活用できる感触が出てきた。
そうこうしているうちに、Twinmotionが伸びてきた。Lumenによるレンダリングのクオリティが上がり、さらにパストレーサー機能が加わって、リアルタイムエンジンでありながら高品質なプリレンダリングもこなせるようになった。つまり、「速さ」と「美しさ」を両立できる段階に入ってきたのだ。
そして、決定的な出来事が起きる。Unreal Engineを提供するEpic Gamesが、Twinmotionを取り込んだのだ。これにより、両者の互換性が一気に高まった。
設定が比較的しやすいTwinmotionで途中まで作り込み、それをUnreal Engine 5に連携させて、リアルタイムレンダリングでも美しい状態で書き出せる。二つのソフトの「いいとこ取り」ができるようになった。作業効率は、一気に跳ね上がった。
結局、スペースラボが選んだもの
さまざまなエンジンの進化を経て、では今スペースラボが何を使っているかというと、実はD5というリアルタイムエンジンに落ち着いている。
なぜか。理由は突き詰めればひとつだ。「作りたい絵を、最短でどう作るか」——これがすべての基準になる。
どんなに高機能でも、設定やモデリングが複雑だと工数が上がる。工数が上がれば、リアルな制作現場では扱いづらい。そして工数は、そのまま価格に跳ね返る。価格が上がれば、誰も外注できなくなる。
だから、機能の豪華さではなく、「必要な品質を、いかに現実的な工数で出せるか」。この一点で道具を選ぶ。これは、あの「レンダリングに一週間」の時代を知っているからこそ、たどり着いた結論なのかもしれない。
BIMと、「DXという名の落とし穴」
もうひとつ、「今」を語るうえで欠かせないのがBIMだ。
BIMとは、建物の3Dモデルに、部材や設備の情報を紐づけて設計・施工・管理していく仕組みのこと。建築ではRevitとArchiCADが二大巨頭として知られている。
BIMには、間違いなく大きな魅力がある。図面を引きながら、同時にパースも作れる。さらに、設計したモデルからそのまま積算(コスト計算)ができ、その先のFM(ファシリティマネジメント=建物の維持管理)まで、一気通貫でできる可能性を秘めている。理想を言えば、設計から運用まで、すべてのデータが繋がる世界だ。
ただ、私はここで、あえて一つの疑問を投げかけたい。
DXとは、楽をするための仕組みだったはずだ。それなのに、設定などでかえって工数が上がってしまっているのではないか?
BIMは、あまりに多くのことができる。できるがゆえに、設定が複雑で、時間がかかる。私が知る限り、積算まではまだしも、FMまでやり切っている現場は、なかなか聞いたことがない。可能性としては存在するのに、複雑さがそれを阻んでいる。
これはBIMに限った話ではない。リアルタイムエンジンでも、AIでも、同じ問いが常につきまとう。「この技術は、本当に現場を楽にしているのか。それとも、新しい手間を生んでいるだけなのか」。
技術は、現場で使われて初めて意味がある
「待つ、待つ、地獄」の時代から、リアルタイムの時代へ。技術は、疑いようもなく進化した。
しかし、その進化を「現場で本当に使えるもの」に落とし込むには、もう一段の目利きが要る。どんなに高機能でも、複雑すぎて誰も使えなければ意味がない。逆に、多少地味でも、現実的な工数で狙った品質が出せるなら、それが現場にとっての「正解」になる。
華やかな新技術に飛びつくだけでなく、それを冷静に見極めて、地に足のついた形で使いこなす。あの独学の日々から25年、変わらず大事にしているのは、結局そういう視点なのだと思う。
第4章 外観パース
——建物は、絵の1割にすぎない
要点: 外観パースにおいて、建物そのものを描く比率は全体のわずか1〜2割で、残りの8〜9割は環境(空・光・植栽・情景)を描く作業が占める。建築家は建物だけでなく、それを取り巻く外部環境まで含めて一つの作品として設計しているため、その土地に建物が建つことで生まれる「体験」を描けるかどうかが、外観パースの質を決める。
「池にトンボを入れてほしい」
会社を始めて間もない頃、ある著名な建築家——いわゆる巨匠と呼ばれる方の案件を担当したことがある。
図面は緻密に揃っていた。私はその通りに、忠実に外観パースを描いた。ところが、校了が出ない。何度描き直しても、「違う」と返ってくる。何がダメなのか、当時の私にはまるで分からなかった。図面通りに、正確に描いているのに。悩ましい時期だった。
そんなある日、その巨匠からこう言われた。
「池に、トンボを入れてほしい」
正直に言う。最初は、意味が分からなかった。トンボ?なぜ今、トンボの話なのか。建物のパースを描いているはずなのに——。
でも、この一言が、私の外観パースに対する考え方を根本から変えることになった。
建物は、絵の1割から2割にすぎない
長く外観パースを描いてきて、今の私がはっきり言えることがある。
外観パースにおいて、建物そのものを描く比率は、実は全体の1割から2割程度でしかない。残りの8割から9割は、環境を描く作業なのだ。
これは、少し引いて考えれば、当たり前のことだった。
私たちに依頼をくれる設計者、とりわけ建築家は、その土地の特性を活かして建物を設計している。つまり彼らが設計しているのは、建物という「箱」だけではない。それを取り巻く外部環境まで含めて、ひとつの作品として設計しているのだ。
トンボの話も、そういうことだった。「トンボを入れてほしい」というのは、局所的なお願いに聞こえる。でもその真意は、「トンボが飛ぶような池がそこにある」「そういう情景を含めてこの建築を構想したのだ」ということだった。都心の中に、ふと現れるノスタルジックな情景。その建物が建つことで、その土地に何が生まれるのか——巨匠が本当に描きたかったのは、建物の形ではなく、そこに立ち上がる「体験」だったのだ。
そもそも、建物の形は「似てくる」
なぜ、環境がそれほどまでに重要になるのか。もうひとつ、根本的な理由がある。
建築の形状は、構造や法律の制約を受けるため、よほどのことがない限り、どうしても似通ってくるのだ。
建物は自由に、好き勝手な形で建てられるわけではない。構造上の合理性がある。建築基準法をはじめとする法規がある。日影規制、斜線制限、容積率、建蔽率——さまざまな条件が積み重なった結果、多くの建物は「よくある形」に落ち着いていく。
もちろん、一部の巨匠建築家が手がける、そのために構造から特別に設計されたような建築は別だ。しかし世の中の建物の大半は、こうした制約の中で最適解を探した結果として、互いに似た形状になる。
だとすれば、外観パースで建物の「形」だけを見せても、正直、他との差別化は難しい。似たような箱が、そこに建っているだけになる。だからこそ——見せ方が決定的に重要になる。そして、その見せ方の中心にあるのが、環境なのだ。同じような形の建物でも、それを取り巻く光や空気や情景がまるで違えば、伝わる体験はまったく別物になる。
トンボの話に戻れば、こういうことだ。似たような形の建物だからこそ、そこに「トンボの飛ぶ池」という固有の情景が加わることで、その建築は唯一無二の存在になる。
設計者は、建物だけを設計しているのではない
ここに、外観パースを描くうえで最も大切な気づきがある。
設計者は、建物だけを設計しているわけではない。特に建築家はそうだ。
この一点に気づけるかどうかで、描くパースはまったく違うものになる。図面に描かれた建物を正確になぞるだけの人間は、いつまでも「違う」と言われ続ける。かつての私がそうだったように。
一方、設計者が本当に見ているもの——ロケーションと建物の融合、その場所だからこそ得られる体験——にまで意識が届けば、パースは初めて設計者の意図と重なり始める。
建築には、「この場所だからこそ得られる体験」が数多く存在する。海が見える。風が抜ける。木漏れ日が落ちる。その土地の光や空気や気配。それらと建物が溶け合ったときに立ち上がる何か。それを表現しないのは、そもそもおかしいのだ。建物だけを切り取って描くことは、その建築の半分以下しか描いていないことになる。
同じ芝生でも、「意味」がまるで違う
「体験を描く」と言うと抽象的に聞こえるかもしれない。もう少し具体的な話をしよう。
だからこそ、パースの中には人物を——その空間で人が実際に体験している様子を——描き込むことが必要になってくる。人がそこで何をしているかを描くことで、空間の意味が初めて立ち上がるからだ。
たとえば、建物の外にある芝生の庭を思い浮かべてほしい。それは、立入禁止の、眺めるための芝生庭なのか。それとも、みんなが寝そべって過ごせる芝生庭なのか。
同じ芝生を描いても、この二つはまったく意味が違う。前者は、整えられた景観として、遠くから愛でる対象だ。後者は、人が入り込み、寝転がり、時間を過ごす、生活の舞台だ。芝生というモチーフは同じでも、そこで生まれる体験は正反対と言っていい。
そして、この違いは図面には描かれていない。芝生は図面上ではただの緑の面でしかない。それが「眺める芝生」なのか「寝そべる芝生」なのかは、設計者の頭の中にしかない。だからこそ、それをヒアリングで的確に引き出し、つかみ取れるかどうかが、外観パースの肝になる。
建物の形を正確に写すことは、誰にでもできる。でも、その空間がどんな体験を生む場所なのかを聴き取り、絵にできるかどうか。ここに、プロの本当の力量が問われる。
だから、環境の作り込みに時間がかかる
こう考えると、外観パース制作の実態も腑に落ちる。
実際の作業では、建物本体よりも、空や草木の調整の方に圧倒的に手間がかかる。アングル、画角、空の表現、草木の表現——外観パースのクオリティを左右するのは、この「建物以外」の要素だ。
空の色ひとつ、雲の形ひとつ、太陽の位置や時間帯ひとつで、絵の印象はまるごと変わる。外壁の素材と光のバランスを間違えれば、簡単に白飛びしてしまう。ガラスの透過と反射は、建物の「表情」そのものになる。前景に植物を置き、道路に影を落とし、奥行きを作っていく。
これらはすべて、設計者が図面に描いた「建物」の外側にある作業だ。でも、ここにこそ外観パースの本質がある。建物を描いているのではない。その建物が存在する世界を描いているのだ。
いまだに、空の正解は分からない
正直に打ち明けると、25年この仕事を続けてきた今でも、「空」だけは難しいと感じ続けている。
空の模様には、いまだに正解が分からない。雲ひとつ、光ひとつで、絵の印象があまりにも大きく変わってしまう。晴れやかな青空にするのか、少し雲を含ませて情緒を出すのか。朝の澄んだ空気なのか、夕暮れの色を帯びた空なのか。その選択ひとつで、同じ建物がまったく別の表情を見せる。
だからこそ、空を決めるときはいつも慎重になる。一発でこれだと決め打ちすることはせず、必ず複数のパターンを作る。いくつもの空を建物に合わせてみて、比べて、どれがこの建築にとって最もふさわしいかを探っていく。
面白いもので、これだけ経験を積んでも、空だけは「これが絶対の正解だ」と言い切れるようにならない。むしろ、経験を積むほど、その難しさが見えてくるのかもしれない。案件ごとに、土地ごとに、建物ごとに、ふさわしい空は違う。だから毎回、ゼロから向き合うことになる。
この「正解のなさ」こそが、外観パースの奥深さであり、面白さなのだと思う。答えが決まっていないからこそ、そこに制作者の感性と判断が入り込む余地がある。
「盛る」ことのリスク
ただし、環境の表現には注意も要る。
魅力的に見せたいあまり、実際には存在しない植栽を近隣の敷地に置いてしまうことがある。誇張表現として、これがトラブルの原因になることがある。「実際にはこんな緑はない」という話になれば、誇大表現と受け取られかねない。媒体によっては、こうした表現が明確に禁止されていることもある。
ここでも、第2章で触れた「リアルの上に立つ演出」という原則が効いてくる。環境を作り込むことと、事実を誤認させることは違う。その境界を見極める感覚が、プロには求められる。
トンボが教えてくれたこと
あのとき、トンボの意味が分からなかった若い私に、今の私が言えることがあるとすれば、それはこうだ。
「君は建物を描こうとしているが、設計者は世界を設計している」
外観パースとは、建物という主役を、環境という舞台の上に立たせる仕事だ。いや、むしろ舞台の方が主役なのかもしれない。その土地に建物が建つことで生まれる、新しい情景。新しい体験。それを一枚の絵として立ち上げること。
トンボ一匹から、私はそれを学んだ。
第5章 内観パース
——光と素材だけで、空間を成立させる難しさ
要点: 内観パースの難しさは、複数の光源(外光と室内照明)が干渉し合う点にある。人間の目は光を相対的な対比で捉えるため、同じ照明でも空間によって見え方が変わる。照明計画が未確定のまま光を提案することも多く、モノが少ないシンプルな空間ほど質感と光だけで勝負するため、制作者の実力がそのまま表れる。
外観の光は「太陽だけ」。内観はそうはいかない
前章で、外観パースでは空が難しいという話をした。付け加えるなら、影の濃さの表現も難しい。夏の日差しは強く、影がくっきり出る。その影の濃さひとつで、見る人は季節を感じ取る。だから影はごまかせない。
ただ、外観の光は、基本的には太陽ひとつだ。あとは時間帯による太陽の高さの違い。光源が一つだと考えれば、実はシンプルとも言える。
内観は、そうはいかない。
外光が入る内観では、その外光の影響を考えながら、さらに室内の照明がどう見えるかを重ねて考えなければならない。光源が複数あり、それらが互いに干渉し合う。この複雑さが、内観の難しさの出発点だ。
人間の目は、光に「騙される」
ここで、内観パースを語るうえで避けて通れない、ひとつの厄介な性質に触れておきたい。人間の目のガンマ、つまり光の感じ方の問題だ。
人間の目は、光の「絶対的な強さ」で明るさを判断していない。「周りと比べて、どれくらい明るいか」という相対的な差で明るさを感じ取っている。光の対比効果によって、脳が明るさを判断しているのだ。
これが、内観パースに直接効いてくる。
たとえば、まったく同じ照明器具を使っていても、外光がたっぷり入る空間と、外光が入らない空間とでは、その照明の見え方がまるで違ってしまう。周囲が明るければ、同じ照明も控えめに見える。周囲が暗ければ、同じ照明が煌々と輝いて見える。器具は同じなのに、だ。
となると、制作者は常に問い続けることになる。どの表現が「正解」なのか。いや、正解というより、どの表現が最も「魅力的」なのか。物理的に正確なだけでは足りない。人間の目にどう映るかまで計算に入れて、光を設計しなければならない。まず、ここが難しい。
照明計画がないまま、光を「提案」する
内観パースの現場には、もうひとつ特有の事情がある。照明計画が未確定のまま、われわれが光を考えて入れることが、本当に多いのだ。
これは仕方のないことでもある。パースの資料がわれわれの手元に渡るタイミングでは、まだ照明計画が固まっていないことが多いからだ。でも、パースは作らなければならない。だからわれわれは、空間そのものを読み取り、依頼者が表現したい内容をヒアリングして、そこから光を組み立てていく。
このとき、どこに注目するか。たとえば、テーブルに落ちる光。それは焦点の絞られたシャープな光なのか、それともふんわりと柔らかい光なのか。これひとつで、食卓の雰囲気はまるで変わる。
あるいは、壁面に当たる照明。その光がどんな角度で、どんな形の跡を残すのか。われわれはこれを「スカラップ」と呼んでいる。スポットライトやダウンライトを壁の近くに配置したときに、壁に投影されるホタテ貝のような半円状の光の重なりのことだ。どんなスカラップを描くかで、同じ壁面でも印象がガラリと変わる。
照明器具から生まれる影、光の反射、素材の光沢——こうした無数の要素の組み合わせで、室内のイメージは決まっていく。それを、確定した図面がないところから、空間を読んで組み立てる。内観パースとは、そういう仕事だ。
シンプルな空間ほど、難しい
意外に思われるかもしれないが、内観パースでは、シンプルな空間ほど難しい。
モノがたくさんある賑やかな空間なら、多少光や素材の表現が甘くても、情報量の多さがそれをごまかしてくれる。しかし、素材の魅力そのものが主役になるようなミニマルな空間では、逃げ場がない。質感と光、そのふたつだけで空間を成立させなければならないからだ。
一枚の壁、一枚の床。その素材が持つ微妙な光沢、反射、周囲の色をどう受けているか。すべてが露わになる。ごまかしがきかない。だからこそ、シンプルな空間ほど、制作者の実力がそのまま出てしまう。
そして、これは頭で理解するだけでは作れない領域だ。実際にそういう上質な空間を体験していないと、なかなか掴めない。知らないものは、やはり作れない。上質な光を浴びたことがない人間に、上質な光は描けない。
だからこそ、パースを描く人間には「体験」が必要なのだ。いい空間に身を置き、そこでどんな光がどんな素材にどう落ちているかを、自分の目と体で知っていること。これが、内観パースの土台になる。
「印刷して提出してほしい」——色校正という難問
最後に、内観パースにまつわる、非常に現実的で、そして根の深い問題を打ち明けたい。色の問題だ。
あるお客様から、こう言われたことがある。「パースの色味がそのまま施工に反映されるから、提出物は印刷にしてほしい」と。
これは、とても難しい注文だ。なぜなら、色校正という厄介な世界に足を踏み入れることになるからだ。
われわれの会社では、当然ながら対策はしている。社内のモニターは共通のものを使い、メーカーだけでなく型番や製造時期まで近いものを揃えている。キャリブレーター(色を正確に調整する機器)も活用している。それでも、色の認識を完全に合わせることは、いまだに難しい。
最近もあった。われわれの画面では「これでいい」と思って作ったものが、お客様の画面では色味が違って見える。赤味が強く出たり、コントラストが強すぎたり、明るすぎたり。結局のところ、最後はお客様の画面の色に合わせるしかない。
そう考えると、少し怖いことに気づく。われわれが「これを納品した」と思っているものと、お客様が実際に見ているものは、もしかすると別のものなのかもしれない。同じデータを見ているはずなのに、届いている絵が違う。これは、デジタルで色を扱う以上、つきまとう宿命のような問題だ。
だから、印刷機はいいものを使ったほうがいい
この色の問題に関連して、依頼する側の読者に、ひとつ実践的な話をしたい。
あるお客様は、プロの印刷業者が使うような、上質なプリンターを導入していた。理由を聞いて、深く納得した。
「せっかくオートクチュールで頼んだ、一枚数万円から数十万円のパースを、どこにでもある印刷機で印刷するほど、もったいないことはない」
まさに、その通りだ。
私自身、クライアントが提出した資料を紙でもらったとき、その印刷品質の低さに悲しい思いをしたことが何度もある。丹精込めて作ったパースが、安価な印刷で台無しになっている。あれは作り手として、本当に切ない。
だから、これは制作側の目線が入った話かもしれないが、あえて言いたい。パースを発注する会社は、印刷機にいいものを使ったほうがいい。コンペで競うとき、同じクオリティのパースでも、印刷の質で最終的な見え方は変わる。数万円のパースを活かすも殺すも、最後の出力次第だ。いい印刷は、コンペの勝率を確実に上げてくれるはずだ。
第6章 鳥瞰パース
——情報は最大、でも演出は効かない
要点: 鳥瞰パースは建物を上空から見下ろす視点で、周辺環境との関係や計画全体像を伝えるのに最適な唯一の視点である。情報量は最大だが、目線が遠いため光や影の演出が効きにくく、制作時間の7〜8割を周辺環境の構築が占めるため、コストと工数が見合いにくい。そのため制作前に「どこまで作り込むか」をクライアントと相談することが鍵になる。
鳥瞰は「模型の代わり」から始まった
鳥瞰パースとは、建物を上空から見下ろす視点で描いたパースのことだ。
そもそも、鳥瞰で表現したいことは、長らく「模型」が担ってきた領域だった。周辺環境とのボリューム感、建物の配置、全体の導線——こうした「計画の全体像」を掴むには、上から俯瞰するのが一番わかりやすい。かつては建築模型がその役割を果たしていた。
パースの視点で言い換えると、こうなる。アイレベル(人の目線)のパースが「展開図を3D化したもの」だとすれば、鳥瞰は「平面図を3D化したもの」に近い。だから鳥瞰は、個々の空間の魅力を見せるというより、「計画を伝える」ための絵なのだ。都市部や大規模施設のように、周辺環境や複数棟の関係性が重要になるプロジェクトで、特に力を発揮する。
説明的だからこそ、絵として難しい
ただ、この「計画を伝える」という性質が、鳥瞰パースを難しくする。
鳥瞰パースは、説明的な要素が非常に多い。一枚の絵の中に、建物、道路、周辺の街並み、緑地、導線——ありとあらゆる情報を詰め込むことになる。伝えるべき要素が多いということは、それだけ表現が難しくなるということでもある。
さらに厄介なのが、光と影の問題だ。
外観パースや内観パースでは、光や影の演出が絵の魅力を大きく左右した。ところが鳥瞰では、目線が遠くなるぶん、その光や影の表現が伝わりにくくなる。ドラマチックな陰影をつけても、俯瞰の視点では効果が薄れてしまう。結果として、絵全体がのっぺりとした、単色な印象に見えがちになる。
これは、鳥瞰パースならではのジレンマだ。情報量は最大なのに、その情報を魅力的に見せるための「光の演出」という武器が、ほとんど使えない。近くで見せるパースが「光と素材のドラマ」で勝負できるのに対し、鳥瞰は最初からその手札を封じられているようなものだ。
昔は現地調査、今はGoogle Map
鳥瞰パースの作り方も、時代とともに大きく変わった。
かつては、周辺環境を再現するために、実際に現地へ足を運んで調査していた。周りにどんな建物があり、どんな道路が走り、どんな緑があるのか。それを一つひとつ確認しながら作っていた。
今は、Google Mapをはじめとするデジタルツールを活用できる。遠隔地の案件でも、現地に行かずに高い精度で周辺環境を把握し、鳥瞰パースを制作できるようになった。これは大きな進歩だ。
さらに最近では、新しい見せ方も提案している。裸眼立体視モニターを使って、鳥瞰を立体的に表示する方法だ。視点を自由に変えながら、どの角度からでも計画を確認できる。俯瞰の情報量に「立体感」と「インタラクティブ性」が加わることで、施主や関係者の理解が格段に深まる。平面的で単色に見えがちという鳥瞰の弱点を、テクノロジーで補う試みでもある。
工数と金額が、見合わない
そして、鳥瞰パースを語るうえで避けて通れないのが、コストの問題だ。
鳥瞰パースは、制作コストが高くなりやすい。理由ははっきりしている。建物本体だけでなく、その周辺環境までを緻密に作り込む必要があるからだ。実際、制作全体のうち、7割から8割の時間が周辺環境の構築に費やされることも珍しくない。
ここに、作り手としての率直な悩みがある。これだけ多くの要素を作り込み、膨大な工数をかけても、その工数に金額感が見合わないことが多いのだ。一枚の絵に詰め込む情報量は最大級なのに、光の演出で「わかりやすく魅力的な絵」に仕上げることが難しい。手間はかかる、でも派手さは出ない。ここが、鳥瞰パースのいちばん大変なところだ。
だから、「どこまで作るか」を相談する
この工数の問題に対して、われわれが現場で取る対応はシンプルだ。
制作に入る前に、「周辺環境をどこまで作り込むか」を、クライアントとしっかり相談する。すべてを緻密に再現すればコストは跳ね上がる。だから、計画を伝えるうえで本当に必要な部分はどこか、逆に簡略化してもいい部分はどこかを見極めて、コストを調整していく。
これは第2章で触れた「何のためのパースか」という問いと、同じ根を持っている。鳥瞰の目的は、個々の空間の美しさを見せることではなく、「計画の全体像」を共有することだ。ならば、その目的に照らして、作り込むべき箇所と割り切る箇所を判断する。それが、鳥瞰パースを現実的なコストで成立させる鍵になる。
全体を掴むための、唯一の視点
いろいろと難しさを述べてきたが、それでも鳥瞰パースには、他のパースには代えられない価値がある。
建物のボリューム感、周辺との関係、街全体の中での位置づけ。プロジェクトの全体像を一枚で共有できるのは、鳥瞰だけだ。コストは高めになる。演出も効きにくい。それでも、計画全体の理解と合意形成において、鳥瞰パースが果たす役割は大きい。
近くを見せるパースが「体験」を伝えるものだとすれば、鳥瞰パースは「構想」を伝えるもの。そういう住み分けなのだと思う。
第7章 広告用CGパース
——「目に留まる」を、計算して描く
要点: 広告用CGパースは、掲載する媒体(SNS・Web・雑誌など)によって描くべき絵がまったく変わる。「目に留まらせる(売れるパース)」と「じっくり見せて心を掴む(伝わるパース)」の2種類を役割分担させ、周囲の掲載との差別化を計算して描く。空間表現の技術に加え、マーケティングの視点が求められる領域である。
広告用パースは、媒体がすべてを決める
外観、内観、鳥瞰——ここまで見てきたパースは、いずれも「空間をどう伝えるか」が主題だった。広告用CGパースは、少し毛色が違う。
なぜなら、広告用パースで最も重要なのは、掲載する媒体だからだ。どの媒体に載せるのか。それによって、描くべき絵はまったく変わる。同じ物件でも、SNSに載せる絵と、雑誌に載せる絵は、狙いも作り方も別物になる。
だから広告用パースを作るとき、私たちはまず「これはどこに載るのか」から考える。絵の良し悪しの前に、媒体の特性を読む。ここが、広告用パースの出発点だ。
「売れるパース」と「伝わるパース」は、役割が違う
私は、広告用パースを2種類に分けて考えている。「売れるパース」と「伝わるパース」だ。
この2つは、どちらが優れているという話ではない。見られる順番と、果たす役割が違うのだ。
まず「売れるパース」。これは、とにかく目に留まることがすべての絵だ。
近年はSNSをはじめとするWEBマーケティングが主流になった。ユーザーは、大量の情報を流し目で眺めている。その洪水のような情報の中で、指を止めさせ、クリックさせ、LP(ランディングページ)へ遷移してもらう。そのフックになるのが、ビジュアルだ。「売れるパース」は、この一瞬の勝負のために存在する。パッと見て、留まってもらえるか。それがすべてだ。
一方、「伝わるパース」は、そこから先の絵だ。
フックに引っかかって興味を持った人が、じっくり見る絵。「ここはこうなっているんだ」「こういうイメージなんだ」と、深く見ていく。臨場感を感じながら、その空間に入り込んでいく。
このとき大切なのは、没入感だ。ユーザーが求める空間になっているか。「自分が住んでみたい」「行ってみたい」と思える絵になっているか。ここで心を掴んで、ようやく問い合わせに繋がる。
つまり、こういう流れだ。「売れるパース」で足を止めさせ、「伝わるパース」で心を掴む。目に留まらなければ見てもらえないし、見てもらえても心が動かなければ問い合わせには至らない。この2つは、役割分担をしながら連携している。
昔は雑誌、今はSNS——変わる「目の留まり方」
この「目に留まる」の中身は、媒体によって変わる。そして媒体は、時代とともに変わってきた。
かつて、広告の主流はチラシや雑誌だった。今は、SNSやWEBが中心になっている。同じ「広告用パース」でも、紙をめくる人の目と、スマホをスクロールする人の目とでは、留まり方がまるで違う。だから、見せ方も変える必要がある。
この「紙媒体での目の留まり方」を、私たちは実際の現場で深く学んだ。ある案件を通じて。
ブライダル雑誌が教えてくれた、「目立つ」の正体
私たちは以前、あるブライダル雑誌の掲載用パースを手がけたことがある。
これが、実に奥深い世界だった。「いいパース」を描けばいい、という単純な話ではなかったのだ。
考えてみてほしい。そのブライダル雑誌は、何百ページにもわたって、たくさんのブライダル会場が掲載されている。その中で、読者の目に留まり、問い合わせをしてもらうことがゴールだ。数百の会場がひしめく中で、いかにして「この会場、気になる」と思わせるか。
では、「目に留まる」とは、具体的にどういうことなのか。私たちは、これを紐解く必要があった。
たどり着いた答えのひとつは、理想の空間がきちんと表現されているか。これは大前提だ。そしてもうひとつが、差別化としての色味のバランスだった。
「赤い花」の話——差別化を計算する
わかりやすい例を挙げよう。
最近のブライダル会場は、ネイチャー志向、つまり自然を基調とした空間が流行している。装花も、白と薄い緑を中心とした、ナチュラルなカラーが人気だ。以前はまったくなかった傾向だが、今はこれが主流になっている。
さて、ここで考えてみる。雑誌のページをめくると、どこもかしこも白と薄緑のナチュラルな会場が並んでいる。そのとき、もし一つだけ、赤い装飾、赤い花の会場があったら——どうなるか。
目立つのだ。
この例えが正確かどうかはわからないが、要は、目立つということは、差別化されているということだ。ユーザーはブライダル雑誌をパラパラとめくりながら、なぜか「変化のある会場」に目を留める。周りと同じものは、記憶に残らない。周りと違うものが、ふと気になる。
大切なのは、これを計算して描けるかどうかだ。
ただ闇雲に美しい会場を描いても、周りに埋もれてしまう。その媒体の中で、他の掲載がどうなっているかを読み、あえて流行に逆張りする、あるいは意図的に色のバランスをずらす。そうやって「この一枚だけ、なぜか目を引く」状態を、狙って作り出す。これが、広告用パースの真骨頂だ。
広告用パースは、絵であってマーケティングだ
こうして見ていくと、広告用CGパースが、他のパースと決定的に違う点が見えてくる。
外観や内観のパースが「空間をいかに正確に、魅力的に伝えるか」だとすれば、広告用パースは「その絵が置かれる文脈の中で、いかに機能するか」を問われる。周りに何が並ぶのか。ユーザーはどんな状態で見るのか。何を狙って、どこへ導くのか。
一枚の絵を、それ単体の美しさで評価するのではなく、マーケティングの一部として設計する。空間表現の技術に加えて、媒体を読む目と、人の視線がどう動くかを見抜く力が要る。
広告用パースは、絵でありながら、マーケティングそのものなのだ。「何のためのパースか」という問いが、ここでは「誰に、どこで、どう見せて、どう動かすのか」という、極めて実践的な問いに姿を変える。
第8章 フォトリアル表現
——「あえて崩す」という、リアリティの逆説
要点: フォトリアル表現の核心は「いかに美しく整えるか」ではなく「いかに自然に崩すか」にある。人間の目は違和感に敏感で、完璧に整いすぎたCG(左右対称の顔、真っ直ぐな壁)はかえって嘘っぽく見える。あえて非対称性や不揃いを加え、土・苔・水たまりといった細部の雑然さを積み重ねることで、初めて「日常」に近いリアリティが生まれる。
ここまでの章では、パースの「考え方」を多く語ってきた。この章では趣向を変えて、実際にフォトリアルな絵をどう作っているのか、その技術的な裏側を明かしたい。種明かしの章だと思って読んでほしい。
リアルとは、「日常」である
フォトリアル表現の核心を、私はこう捉えている。リアルとは、日常だ。
この一言に、実は多くのことが詰まっている。
私たちが「リアルだ」と感じるのは、見慣れた日常の風景に近いときだ。逆に言えば、日常からわずかでも外れたものを見ると、人は「違和感」を覚える。そして人間の目は、この違和感の検知に、驚くほど敏感にできている。ほんの些細なズレでも、見た瞬間に「何かおかしい」と感じ取ってしまう。
このやっかいな「人間の目」と、どう付き合うか。それがフォトリアル表現のすべてだと言っていい。
「AIっぽい」と言われた、リアルすぎる人物
象徴的な経験がある。
かつて、リアルな女性のCGを制作したことがあった。技術の粋を尽くして、徹底的に整った、美しい人物を作った。ところが、周囲の反応はこうだった。
「なんか、AIっぽいね」
正直、意外だった。リアルに、美しく作ったはずなのに、なぜ「作り物っぽい」と言われるのか。検証を重ねて、その理由がわかってきた。
理由は、2つあった。
ひとつは、日常に、そんなにきれいな人はいないということ。街を歩いていて、モデルのように整った人にそうそう出会うだろうか。出会わない。だから、あまりに整った顔は、それ自体が「日常ではない=違和感」になってしまう。美しさが、かえってリアリティを損なうのだ。
もうひとつは、左右対称の問題だ。「AIっぽい」と言われる顔は、たいてい左右対称に近い。でも、考えてみてほしい。完全に左右対称の顔をした人など、現実にはほぼ存在しない。どんな美人でも、顔には必ず微妙な左右の誤差がある。その「誤差」こそが、人間の証なのだ。それがないから、脳が「これは人間じゃない」と判断してしまう。
だから、「あえて崩す」
ここから導かれる結論が、フォトリアル表現の最も重要な逆説だ。
あえて崩したほうが、リアルに見える。
人物で言えば、少し崩れた、いわゆる「ちょいブス」くらいの方が、かえってリアルに感じられる。完璧に整えるのではなく、意図的に非対称性や不揃いを入れる。すると、絵に急に臨場感が宿る。
そして重要なのは、これが人物だけの話ではないということだ。同じ原理が、あらゆるものに効く。
たとえば、壁。CGで作ると、どこまでも真っ直ぐで、完璧に平滑な壁ができる。ところが、その完璧さが違和感になる。現実の壁は、よく見ればわずかに歪んでいたり、微妙な凹凸があったり、経年の汚れがあったりする。だから、あえて壁をほんの少し崩す。完璧な直線を、わずかに乱す。すると、しっくりくる。
人も、物も、現実のものはCGのような「きれいなライン」ではできていない。だからこそ、あえて崩していくことで、リアリティが立ち上がる。整えるのではなく、崩す。これがフォトリアルの、逆説的な技術だ。
CGの弱点は「直線が得意すぎる」こと
なぜCGは、放っておくと「きれいすぎる」ものを作ってしまうのか。ここには、CGという技術そのものの根本的な性質が関わっている。
CGは、ポリゴンという幾何学的な集合体でできている。簡単に言えば、CGは直線的な表現が得意なのだ。整った形、正確な面、滑らかな曲面——こういったものを作るのは、CGの得意分野だ。
ところが、自然界はその真逆でできている。
植物、山、海——自然物は、有機的な曲線の集合だ。一枚として同じ形の葉はなく、一本として同じ枝ぶりの木はない。この「不揃いな曲線の集合」こそが、自然の本質だ。つまり、直線が得意なCGと、曲線でできた自然物は、根本的に相性が悪い。
だから、フォトリアル表現でもっとも難しいのは、自然物なのだ。
自然物を、どう「それっぽく」作るか
では、相性の悪い自然物を、どうやってリアルに見せるのか。ここが技術の腕の見せどころだ。
まず、大前提の壁がある。すべての植物、すべての葉を、一点ものとして個別に作り込むのは、非現実的だ。膨大すぎて、時間がいくらあっても足りない。
かといって、同じ葉、同じ植物をコピーして並べると、これが一発でバレる。人間の目は、繰り返しパターンを瞬時に見抜く。「あ、同じものが並んでいる」と気づいた瞬間、リアリティは崩壊する。
そこで使うのが、メリハリの戦略だ。
手前の、はっきり見える範囲だけを、丁寧に作り込む。そして、背景など目立たない部分は、インスタンス(複製)にランダムな配置・角度・スケールのばらつきを加えて処理する。全部を作り込むのではなく、見える部分に力を集中し、見えない部分は"それっぽく"散らす。この配分が、自然物表現の肝だ。
神は、細部に宿る——土、苔、水たまり、虫
そして、フォトリアルへの本当の近道は、実は地味なところにある。
植物そのものよりも、土、苔、水たまり、虫——こうした細部の積み重ねだ。
草がきれいに生えているだけの地面より、土がのぞき、苔が這い、小さな水たまりがあり、虫がいる地面の方が、圧倒的にリアルに感じられる。なぜなら、それが日常の風景だからだ。完璧に整えられた自然など、自然ではない。少し雑然として、いろいろなものが混在しているのが、本物の自然の姿だ。
ただし、正直に言えば、これは制作の手間とのバランスが非常に悪い。土や苔や虫を一つひとつ作り込む労力は膨大で、その割に「主役」ではない。だからこそ、どこまでやるかの見極めが、常につきまとう。
先に触れた、水たまりの反射ひとつ、葉の向きひとつ。そんな些細なことで、リアリティは簡単に壊れる。逆に言えば、その些細なことを丁寧に積み上げることでしか、本物のフォトリアルには辿り着けない。
整えるのではなく、崩す
この章で語ってきたことを、ひとつにまとめるなら、こうなる。
フォトリアル表現とは、「いかに美しく整えるか」ではない。「いかに自然に崩すか」の技術だ。
CGは放っておけば、完璧で、整いすぎた、嘘くさいものを作ってしまう。その完璧さを、あえて崩す。左右非対称を入れ、直線を乱し、繰り返しを避け、細部の雑然さを加える。そうやって初めて、絵は「日常」に近づき、リアリティを獲得する。
リアルとは、日常だ。そして日常とは、完璧ではないものの集まりだ。この逆説を理解し、意図的に崩せるかどうか。それが、フォトリアル表現の分かれ道になる。
第9章 建築事務所と内装設計事務所からの依頼の違い
——「マラソン」と「短距離走」
要点: パース制作は依頼元によって進め方がまったく異なる。建築設計事務所の案件は半年〜数年かけて絵を育てる「マラソン型」、内装設計事務所の商業案件は作業開始から3〜7日で仕上げる「短距離走型」である。後者では未確定の図面と並行してパースが設計を引っ張ることもあり、標準寸法の知識と初速の速さが勝負を分ける。
同じ「パース制作」でも、依頼元でまったく違う
パースの制作依頼と一口に言っても、その進み方は依頼元によって大きく異なる。とりわけ違うのが、建築設計事務所からの依頼と、内装設計事務所からの依頼だ。
この二つは、同じ「建築パース」という言葉で括られながら、仕事の時間軸も、進め方も、求められる動き方も、まるで別物になる。一方がマラソンなら、もう一方は短距離走だ。長くこの仕事を続けてきて、この違いは常に意識せざるを得ないポイントだった。
建築事務所の依頼は、ロングスパン
まず、建築設計事務所からの依頼。これは、とにかく長い。
一つの物件に、半年から数年という時間をかけて関わることも珍しくない。計画段階から始まり、近隣説明用の資料、実施設計、そして度重なる修正——プロジェクトの進行に合わせて、同じ物件のパースを描き続けることになる。
進め方も、じっくりしている。定例会議のたびに、少しずつ設計が変わっていく。それに合わせて、パースも微修正を重ねていく。一気に仕上げるというより、プロジェクトと並走しながら、長い時間をかけて絵を育てていくイメージだ。
腰を据えて、一つの建築とじっくり向き合う。それが建築事務所の案件の特徴だ。
内装設計事務所の依頼は、短納期勝負
一方、内装設計事務所からの依頼、特に商業系の案件は、まったく逆だ。徹底した短納期勝負になる。
一般的な納期感で言うと、作業開始から3日〜7日程度。会議から2週間後にはプレゼン提出を求められる、といったことも当たり前にある。建築案件が「年」の単位で動くのに対し、こちらは「日」の単位で動く。
なぜ、これほど急ぐのか。背景には、切実な経済的事情がある。
商業物件は、契約した瞬間から家賃コストが発生する。テナントにとって、店がオープンしていない期間は、ただ家賃だけが出ていく赤字の時間だ。だから、一日でも早くオープンさせたい。必然的に、設計立案から施工までのスケジュールが、極限まで圧縮される。パース制作も、その猛烈なスピードに巻き込まれる。
図面が、パースを見ながら完成していく
この短納期が生むのが、独特の進め方だ。
内装案件では、設計図がまだ完成していない段階で、パース制作が始まることが多い。デザインの白図(下書き段階の図面)と並行してパースを作り始め、図面が完成するのと同時にパースも仕上がっている——そんな同時進行が求められる。
さらに面白いのは、ここで一種の"主客逆転"が起きることだ。
通常なら、図面をもとにパースを描く。ところが短納期の内装案件では、私たちが描いている途中のパースを、クライアントが見ながら設計を修正し、完成させていく——という流れになることがある。
つまり、パースが設計を追いかけるのではなく、パースが設計を引っ張る場面が生まれる。私たちが立ち上げた立体イメージを見て、設計者が「ここはこうしよう」と判断を固めていく。図面とパースが、同時並行で、互いに影響し合いながら完成に向かっていくのだ。
これは、パース制作者が単なる「作画係」ではなく、設計プロセスの一部に組み込まれていることを意味する。だからこそ、設計への理解が問われる。
パース制作者が持っている「設計の知識」
とはいえ、さすがに何もないところからは描けない。最低限、平面図はいただかないとパースは始められない。起点がなければ、スタートが切れないからだ。
逆に言えば、平面図さえあれば、あとはかなり進められる。細かな形状はわからなくても、縦方向の寸法(高さ関係)はだいたい決まっているので、私たちの側でどんどん立ち上げていける。なぜそれができるかというと、空間を構成する要素の「標準的な寸法」が頭に入っているからだ。
たとえば——一般的な椅子の高さ、ソファの高さ、テーブルやカウンターの高さ。下がり壁や防炎垂れ壁の寸法。それぞれの部材の厚み。間接照明の納まり。扉の大きさや、枠の幅。こうした無数の"当たり前の寸法"を、私たちは理解している。
これがあるから、図面に描かれていない部分も、設計の常識に沿って補いながら描き進められる。この設計知識がないと、商業系のパースを作るのは、正直かなり難しいと思う。
「制作時間は、納期の3分の2」の理由
ここで、意外に思われるかもしれない現実を明かしたい。
たとえば納期が1週間の案件があったとして、パース制作に実際に使える時間は、その全部ではない。おおよそ、納期までの日数の3分の2くらいというのが、私の体感だ。
なぜ、まるまる使えないのか。理由は、クライアントとのやり取りにある。
流れはこうだ。まず、いただいた資料をもとに、作れるところまで最速で作り込む。それをクライアントに送る。クライアントはデザインをチェックし、修正指示(チェックバック)を返してくる。このチェックに、だいたい丸1日はかかる。その間、こちらは次の作業を進められない。返ってきたら、翌日からまた修正して、送る。またチェックが返ってくる——。
このラリーを繰り返すと、純粋にこちらが手を動かせる時間は、納期の3分の2程度に目減りする。残りの3分の1は、いわば「往復」に消えていく。
これは、決して無駄な時間ではない。クライアントとの対話こそが、絵の精度を上げていくからだ。ただ、短納期の案件ほど、この「ラリーの時間」を計算に入れておかないと、あっという間にスケジュールが破綻する。だから私たちは、最初の一手をいかに速く、いかに完成度高く出すかに、神経を注ぐ。往復が始まる前の「初速」が、短距離走の勝負を分けるのだ。
それぞれの、別種の「しんどさ」
長く両方の案件をこなしてきて感じるのは、どちらにも、まったく質の違う"しんどさ"があるということだ。
ロングスパンの建築案件のしんどさは、自分の目が麻痺してくることだ。
同じパースを、何ヶ月も、時には何年も見続ける。すると、だんだんとその絵の良し悪しがわからなくなってくる。どこが変なのか、どこを直すべきなのか、感覚が鈍っていく。見慣れてしまうのだ。ずっと向き合ってきたからこそ、かえって客観的に見られなくなる。この"目の麻痺"と戦うのが、長期案件の難しさだ。
一方、短納期の内装案件のしんどさは、やり切れない悔しさだ。
限られた時間の中で作るから、どうしてもクオリティを上げきれないことがある。「もっと時間があれば、ここをこうできたのに」——そういう心残りを抱えたまま、納期が来てしまう。作り手として、自分の力を出し切れずに手を離す悔しさは、なかなかのものだ。
腰を据えるがゆえに目が麻痺する長期案件と、走り抜けるがゆえに詰め切れない短期案件。どちらも、それぞれのやり方でしか味わえない難しさがある。
マラソンと短距離走、どちらも走れること
建築事務所のロングスパンな案件と、内装設計事務所の短納期な案件。この二つは、求められる走り方がまるで違う。
前者は、長い時間をかけて一つの建築とじっくり向き合う持久力の世界。後者は、限られた時間で未確定の情報から一気に絵を立ち上げる瞬発力の世界。
どちらが優れているという話ではない。大切なのは、案件の性質を最初に見極めて、それにふさわしいギアで走ることだ。マラソンのペースで短距離を走れば間に合わないし、短距離のペースでマラソンを走れば息切れする。両方の走り方を知っていて、案件ごとに切り替えられること。それが、幅広い依頼に応え続けるための条件なのだと思う。
第10章 パース制作費と予算感
——「高い・安い」の前に、知っておいてほしいこと
要点: パース制作費は目的・作業量・演出レベル・納期によって変動し、一律ではない。スペースラボの料金目安は、ベーシックプランが内観75,000円〜・外観100,000円〜、プレミアムプランがその約2倍、AI活用制作が1枚50,000円〜。目指すべきは「高いけど効果的なパース」ではなく「費用対効果のあるパース」であり、目的に対して過不足のない一枚が本当に良いパースである。スペースラボは追加料金が発生しにくく、原則として当初予算内での制作を優先する。
この章では、多くの人が気になりながら、なかなか表には出てこない「お金の話」をする。実際の料金の目安も示しながら、パースの価格がどう決まるのかを、できるだけ正直に語りたい。
パースの値段は、一律ではない
まず、大前提から話したい。パース制作費は、一律ではない。
「パース一枚いくらですか?」という質問に、即答できないのがこの仕事の実態だ。なぜなら、目的、作業ボリューム、演出のレベル、動画か静止画か——こうした要素によって、価格は大きく変わるからだ。同じ「一枚のパース」でも、条件次第で何倍もの差が出る。
とはいえ、それでは読者は困ってしまう。相場感がまるで掴めないからだ。そこで、私たちスペースラボの料金体系を一例として、具体的な数字とともに示してみたい。あくまで一例だが、業界の相場感を掴む手がかりにはなるはずだ。
料金の目安——2つのプランで考える
私たちは、パース制作を大きく2つのプランに分けている。「ベーシック」と「プレミアム」だ。
ベーシックプランは、スピードとコストパフォーマンスを優先したいときのプランだ。コンペ、プレゼン、社内検討用など、「まず形にして共有したい」という用途に向いている。基準となる添景(家具、人物、植物など)の配置や、1〜2回程度の軽微な修正が、あらかじめ含まれている。
目安の金額は、こうなる。
- 内観(30㎡程度のLDKなど):75,000円〜
- 中規模外観(戸建て1棟など):100,000円〜
- 大規模外観(10階建て高層マンションなど):150,000円〜
納期は5〜10営業日程度だ。
プレミアムプランは、広告、パンフレット、Webサイト、特設LP、プレスリリースなど、一般のお客様の目に触れる、ハイエンドなビジュアルが求められるときのプランだ。細部の質感、ライティング、空気感、家具のディテールまで徹底的に作り込む。
- 内観(30㎡程度のLDKなど):150,000円〜
- 中規模外観(戸建て1棟など):200,000円〜
- 大規模外観(10階建て高層マンションなど):300,000円〜
納期は2週間〜1ヶ月程度。ベーシックの約2倍の金額感になる。
なぜ、同じ内観で価格が2倍になるのか
ここで、鋭い読者はこう思うはずだ。「同じ30㎡の内観なのに、なぜ7.5万円と15万円で、倍も違うのか?」と。
その答えこそ、この本でずっと語ってきたことに繋がっている。
ベーシックとプレミアムの差は、「作り込みの密度」の差だ。前の章で、内観パースは光と素材がすべてで、シンプルな空間ほど難しいという話をした。フォトリアル表現の章では、細部の積み重ね——土、苔、水たまり、素材の微妙な反射——こそがリアリティを生むと話した。
この「細部の作り込み」に、時間がかかる。そして時間は、そのまま価格になる。
パッと見て空間が伝わればいいベーシックと、お客様が「住みたい」「行きたい」と思うまで作り込むプレミアム。その差は、質感やライティングや空気感に注ぎ込む工数の差なのだ。倍の値段には、倍(あるいはそれ以上)の手間が入っている。
価格を動かす、その他の要素
ベース金額はあくまで出発点で、実際にはさらに複数の要素で変動する。
まず、支給される資料の揃い具合。2DのCAD図面だけなのか、3Dモデリングデータがあるのか。資料が揃っているほど、こちらの立ち上げ作業は減る。逆に資料が乏しければ、その分こちらで補う工数が増える。
次に、デザインの複雑さと描き込みの密度。凝った造形、特殊な素材、緻密な環境表現——凝れば凝るほど、工数は上がる。第6章で触れた鳥瞰パースが高額になりやすいのも、まさにこれで、制作の7〜8割を周辺環境の作り込みが占めるからだ。
そして、最終的な納品サイズ(解像度)と納期。特に納期は価格に直結する。
「特急料金」という現実
納期が非常にタイトな場合、あるいは土日祝日の稼働が必要な場合は、通常料金から20%〜50%アップの特急料金が発生する。
これは、ぼったくりではない。第9章で話した「短納期の内装案件」を思い出してほしい。急ぐということは、制作者を拘束し、他の仕事を止め、休日を返上させるということだ。そのコストが、特急料金に反映される。逆に言えば、時間に余裕を持って発注すれば、それだけ費用は抑えられる。スケジュールは、そのまま予算に効いてくる。
AIという、新しい選択肢
近年は、AIを活用した制作という選択肢も加わった。
私たちの場合、画像生成AIを使った制作サービスは、1枚50,000円〜で対応している。初期のイメージ共有やコンセプト策定を、迅速に、低コストで行いたいときに向いている。
第13章で語る通り、AIは「なんとなく」を素早く形にするのが得意だ。まだ方向性が固まっていない段階で、複数のイメージを安く早く出したい——そういうニーズには、AIが最適な答えになる。逆に、細部まで正確に作り込む最終ビジュアルなら、CGでプレミアムに作り込む。用途に応じて、この選択肢を使い分けられる時代になった。
料金表には、表れないもの
ここまで料金の話をしてきたが、正直に打ち明けたいジレンマがある。
起業以来、私たちはずっと「制作費をどうするか」と向き合い続けてきた。できる限りリーズナブルに提供したい——その一心で、かつては東南アジアにオフショア(海外拠点)の会社を作ったこともある。だが、今はもうない。そこには、料金表からは決して見えない、いくつもの理由があった。
私たちは長年、海外のパース制作会社と、幾度となく比較されてきた。「向こうは3万円でやってくれる」と。実際、一度は海外に発注したお客様も多い。ところが、その多くが、最終的に私たちのところへ戻ってきてくれた。
なぜか。料金表には表れない部分に、答えがある。
まず、修正費用の問題だ。海外の制作会社は、最初こそ「3万円」と提示するが、修正のたびにきっちり費用が発生する。結果として、トータルでは私たちより高くつくケースが多いようなのだ。安いと思って頼んだはずが、気づけば高くなっている。(私たちがこの修正費用をどう考えているかは、この章の後半で改めて詳しく述べる。)
さらに、コミュニケーションの壁がある。意図が伝わりにくいため、修正指示の回数が増える。その一つひとつに、設計者が時間と手間を割くことになる。第9章で話した「往復のラリー」が、言葉と文化の壁を越えるぶん、何倍にも増えるのだ。結局、「日本で描いてもらった方が、楽だし、安いし、確実だ」——そういう結論に至るお客様が、少なくなかった。
なぜ、オフショアをやめたのか
では、作り手である私たち自身が、なぜオフショアをやめたのか。経営者としての実感を、正直に話したい。
理由は、賃料、人件費、生産性——この3つのバランスに尽きる。
まず賃料。安いと思われがちだが、それなりの場所(都心部)を選ぶと、日本の家賃とさほど変わらないことも多い。
次に人件費。ここが一番の誤解が生まれるところだ。確かに、現地スタッフの給与は日本より安い。場所によっては、いまだに日本の5分の1というところもある。しかし、状況は急速に変わっている。中国ではすでに日本の7割ほど、ベトナムでも5〜6割まで来ている。しかも、それに加えて、日本人駐在員の保険や給与がかかる。これが、高くつく。
そして決定的なのが生産性だ。給与が現地基準でも、生産性が日本人スタッフの半分以下だったりする。つまり、「給与は6割だが、生産量は半分」なら、単価としてはむしろ割高になりかねない。
さらに悩ましいのが、人材の流出だ。いい人材は、海外ではすぐに引き抜かれていく。だから、優秀な人ほど給与が高い。結局、「安くていい人材」という都合のいい存在は、そう長くは留まってくれないのだ。
経営目線で言えば、こういうことになる。人材不足を補うために海外で制作するのは「あり」だ。しかし、「安くするため」に海外へ出るのは、もはや難しい。あくまで私自身の体験談だが、これが偽らざる実感だ。
こうして見えてくるのは、パースの本当のコストは、提示された金額だけでは測れないということだ。修正費用は含まれているのか。どれだけの往復が必要になるのか。意図はきちんと伝わるのか。仕上がりまでにかかる、時間と労力の総量はどれくらいか——。表面的な単価の安さだけを見て発注すると、こうした「見えないコスト」で、かえって高くつくことがある。料金表は、あくまで判断の入口だ。
スペースラボが大切にしていること——「予算内で仕上げる」
ここで、私たちスペースラボが料金について最も大切にしている考え方を、正直にお伝えしたい。それは、「できる限り、最初にいただいた予算の中で仕上げる」ということだ。
パースを発注する方は、たいてい事前に予算を組んでから相談に来られる。「この案件には、これくらいの費用をかけよう」と、社内で計画を立てたうえで発注される。ところが、パース制作にはある宿命がある。どれだけ丁寧に進めても、修正はどうしても出てくるのだ。
第9章で「往復のラリー」の話をした通り、パースは一度で完成するものではない。クライアントが実際の絵を見て初めて気づくことがあり、そこから「ここをこう直したい」という修正が生まれる。これは、より良い絵にたどり着くための、むしろ健全なプロセスだ。だが、その修正のたびに追加料金が積み上がっていくとしたら、どうだろう。当初の予算はあっという間に膨らみ、発注した側は「気づけば予定より高くなっていた」という事態に陥ってしまう。
だから私たちは、よほど大きな設計変更でない限り、通常の修正で追加料金をいただくことは基本的にしない。当初の予算の範囲で、納得のいく一枚に仕上げることを優先する。これは、発注する方の立場に立てば、当たり前のことだと考えている。安心して予算を組み、安心して修正を依頼できる——その状態こそが、本当の意味での「頼みやすさ」だと思うからだ。
もちろん、当初の想定を大きく超えるような追加や変更——たとえば構図そのものの作り直し、カット数の追加、大幅な仕様変更——が発生する場合には、費用が変わることもある。ただし、その際も勝手に金額を上乗せするようなことは決してしない。作業に入る前に、必ず「ここからは追加費用が発生します」と事前にお伝えし、ご了承をいただいてから進める。予算を預かる側として、いつの間にか金額が変わっているという不安を、お客様に与えたくないのだ。
つまり、私たちの基本姿勢はこうだ。原則として、追加料金は発生しにくい。予算内での制作を最優先する。それでも予算を超える必要がある場合は、必ず事前に確認する。この3つを守ることが、私たちなりの「ユーザーファースト」の形なのだと思っている。
「高いけど効果的」ではなく、「費用対効果のあるパース」を
最後に、価格について私が最も伝えたいことを話したい。
パースを発注するとき、目指すべきは「高いけど効果的なパース」ではない。「費用対効果のあるパース」だ。
この二つは、似ているようで違う。前者は、とにかく最高品質を追い求める発想。後者は、「何のために、いくらかけるべきか」を見極める発想だ。
社内検討のためだけのパースに、プレミアムの作り込みは要らない。逆に、何千万円の物件を売るためのLPのメインビジュアルを、ベーシックで済ませるのは、あまりにもったいない。第2章で語った通り、パースは目的によって「正解」が変わる。ならば、かける予算も、目的によって最適化されるべきだ。
だからこそ、発注前の相談が何より大切になる。手元の図面やイメージ、仕様書を添えて、「何のために、どこまで必要か」を一緒に考える。そこから、その案件にとっての「費用対効果の最適点」が見えてくる。
高ければいい、安ければいい、という話ではない。目的に対して、過不足のない一枚。それが、本当に「いいパース」なのだと思う。
第11章 CGパースソフトの歴史と現在地
——「何を選ぶか」の、実用ガイド
要点: CGパースソフトは「モデラー(形を作る)」と「レンダラー(絵に仕上げる)」を分けて考え、最終的な仕上げ方から逆算して選ぶ。現在は各ソフトの性能差が縮まったため、モデラーは互換性を優先して選ぶのが賢明。無料で始めるならBlender、クライアント連携ならSketchUpやRhinoceros、建築特化ならCoronaが有力で、「最強の一本」は存在しない。
第3章では、私自身がどんなソフトと歩んできたかという「物語」を語った。この章では趣向を変えて、これから学ぶ人・依頼する人のために、「今、何をどう選べばいいのか」という実用的な地図を描きたい。
大前提:モデラーとレンダラーは、分けて考える
CGパースのソフトを考えるとき、最初に押さえるべき大前提がある。それは、モデリングソフト(モデラー)とレンダリングソフト(レンダラー)を、分けて考えるということだ。
モデラーは、建物や空間の「形」を3次元で作るためのソフト。レンダラーは、その形に光や質感を与えて、一枚の絵として仕上げるためのソフトだ。この二つは役割が違い、組み合わせて使う。
そして、選ぶ順番として大切なのは、「そのあと、どんなレンダラーで何をしたいのか」を先に考えることだ。モデラー単体で選ぶのではなく、最終的にどう仕上げたいかから逆算する。ここが出発点になる。
今、モデラーは「互換性」で選ぶ
そのうえで、モデラー選びについて、はっきり言えることがある。今は、互換性を優先して選んだほうがいい。
なぜか。かつては各ソフトで性能差が大きかったが、今はどれも性能がだいたい同じくらいになってきたからだ。となると、決め手は「性能」ではなく、「自分の環境や取引先と、どれだけスムーズに連携できるか」になる。だからこそ、モデラーとレンダラーの互換性は、今はきちんと調べてから選ぶべきだ。
以下、代表的なモデラーを、「どんな人に向くか」という視点で整理してみる。
Blender(ブレンダー) ——もし私が今ゼロから覚えるなら、これかもしれない。無料でありながら、互換性が高く、標準搭載のレンダラーもきれいだからだ。少し使いづらい部分はあるが、これから始める人には十分すぎる選択肢だ。
SketchUp(スケッチアップ) ——初心者に優しい定番。特に、仕事でお客様と連動してパースを作るなら有力だ。クライアント側がSketchUpを使っていることが多く、データを引き継いで作業しやすい。ただし、細かなモデリングは苦手なので、プロ仕様としては物足りない面もある。
Rhinoceros(ライノセラス) ——BIM、特にRevitを社内で使っている人におすすめ。RhinocerosはRevitと非常に互換性が高いモデラーだからだ。
Cinema 4D(シネマフォーディー) ——レンダラーとしては今や中途半端だが、Vectorworksと連動する点で内装業では使いやすい。修正が発生したとき、Vectorworks側の修正箇所と連動してくれる。修正では位置合わせが大変なので、そこが楽になるのは大きなメリットだ。
3ds Max(マックス) ——クライアントにAutoCADを使う会社が多いなら、これがいい。シェアが最も大きく、プラグインが豊富で扱いやすい。ただし費用が高く、AIでモデリングが簡単にできる時代になった今、かつてほどの優位性は生かしきれなくなってきた面もある。
Maya(マヤ) ——映像制作向けのイメージが強く、パースで使われるのはあまり聞かない。たまに聞くのは、制作用のモジュール(独自の仕組み)を作れる点が評価されるケースだ。
レンダラー選び:まずは「プリレンダリング」から
次にレンダラーだ。まずは、じっくり高品質に計算する「プリレンダリング」系から見ていこう。
ここで、レンダラーについての大切な豆知識を先に伝えたい。どのレンダラーも、最終的には同じ最高品質まで作ることが可能だ。では何を競っているのか。それは、その最高品質に至るまでの「設定プロセス」を、いかに簡単にできるかだ。パラメーター調整の手間をどれだけ減らせるか——それがレンダラー開発の本質だと思ってほしい。
これを踏まえると、代表的な2つの選択が見えてくる。どちらもChaos(カオス)グループの製品だ。
V-Ray(ブイレイ) ——映画でも使われる、細かな表現まで可能な万能ハイクオリティなレンダラー。ただし万能ゆえにパラメーターが多く、初心者には扱いづらい。微調整を突き詰めたい人向けだ。
Corona(コロナ) ——建築に特化したレンダラー。パースを描くなら、これがとてもいい。建築特化ゆえにパラメーター設定が少なく、扱いやすい。品質はV-Rayと同じく最高レベルに到達できる。残念な点は、3ds MaxとCinema 4Dとしか連動していないことだ。
万能だが複雑なV-Rayか、特化していて扱いやすいCoronaか。この選択は、先ほどの「レンダラーは設定プロセスの簡単さを競っている」という話が、そのまま効いてくる。
レンダラー選び:リアルタイムという選択肢
もう一つの潮流が、リアルタイムレンダリングだ。代表的なのは、Twinmotion、D5、Unreal Engine、Unityあたりになる。
参考までに、私たちスペースラボの使い分けを紹介しよう。クオリティの高い映像を作る場合はUnreal Engine 5(UE5)を使う。普段の制作はD5。そして、顧客との連動が必要な場面ではTwinmotionを活用する、といった具合だ。用途に応じて、道具を持ち替えている。
見落とされがちな「PCの構成」という落とし穴
最後に、ソフト選びと必ずセットで考えてほしい、重要な注意点がある。PCの構成だ。
実は、プリレンダリングとリアルタイムレンダリングでは、必要とされるパソコンの構成が大きく変わる。
プリレンダリングは、CPU(演算処理の中枢)を大きく使うことが多い。一方、リアルタイムは、GPU(グラフィック処理の中枢)がメインになってくる。つまり、「どんなソフトで作るか」を決めずにPCを買うと、力を発揮できない構成になってしまう危険がある。
しかも、この最適な構成は、時期によっても変わる。技術の進化に応じて、CPUとGPUの役割分担や、推奨されるスペックは移り変わっていく。だからこそ、ソフトとPC構成の関係には、常にアンテナを張っておいたほうがいい。「いいソフトを選んだのに、PCが追いつかない」——これは、意外とよくある落とし穴なのだ。
「最強の一本」は、存在しない
こうして見てくると、ひとつの結論にたどり着く。「これさえ選べば間違いない」という最強の一本は、存在しない。
大切なのは、自分が何をしたいのか、誰と組むのか、どんな環境で作るのかに応じて、モデラーとレンダラーとPCを、互換性を軸に組み合わせることだ。無料で始めたいならBlender。クライアントと連携するならSketchUpやRhinoceros。建築パースに特化するならCorona。速さが要るならリアルタイム系。
道具は、目的に従う。第2章から繰り返してきた「何のためのパースか」という問いは、実は道具選びの場面でも、そのまま生きているのだ。
第12章 3Dスキャン・3DGSと周辺環境制作
——「行かずに、その場に建てる」技術
要点: 3DGS(3Dガウシアンスプラッティング)は、点群とフォトグラメトリの長所を併せ持つ新しい3Dスキャン技術で、現実の周辺環境をスキャンしてそのまま背景に使える。これにより、外観パースの8〜9割を占めていた環境制作の工数が大幅に削減される。実務では実寸精度が重要で、ブラウザ上で誤差1cm以内で計測できるXGRIDS社の機材が実用的である。
パースの世界に、ここ数年で大きな変化をもたらした技術がある。3Dスキャン、とりわけ3DGSと呼ばれる新しい手法だ。この章では、この技術がパース制作の何を変えたのかを話したい。
周辺環境という、長年の「重荷」
ここまでの章で、繰り返し語ってきたことがある。パース制作では、建物本体よりも、それを取り巻く周辺環境の制作に、膨大な工数がかかるという話だ。
外観パースでは絵の8〜9割が環境。鳥瞰パースでは制作時間の7〜8割が周辺環境。これは、この仕事の長年の「重荷」だった。
昔は、周辺の建物を一つひとつ、正確に手作業で作り込んでいた。隣の建物、向かいのビル、通りの様子——設計対象ではないのに、リアリティのために作らなければならない。しかし、よく考えれば、敷地の外側を精密に作り込むことは、パースの本質ではないことも多い。見せたいのは、あくまで「これから建つ建物」なのだから。
この「本質ではないのに、時間だけかかる」部分を、劇的に変えたのが3Dスキャン、そして3DGSだ。
3DGSとは何か——「点群とフォトグラメトリのあいのこ」
3DGSという言葉を、初めて聞く人も多いだろう。正式には3Dガウシアンスプラッティングという。難しそうな名前だが、私はいつも、こう説明している。
「点群とフォトグラメトリの、あいのこのようなもの」だと。
3Dスキャンの世界には、もともと2つの代表的な手法があった。ひとつは「点群」。空間を無数の点の集まりとして記録する方法だ。もうひとつは「フォトグラメトリ」。たくさんの写真から立体を再構築する方法だ。3DGSは、この両者の良いところを併せ持つような技術だと考えてもらうといい。
もう少し直感的に言うと、こういう違いだ。従来の点群が「点」そのものの集まりだとすれば、3DGSは「グラデーションを持った点群」だ。ひとつひとつの点が、色や広がりの情報を持っていて、それが集まることで、驚くほど滑らかでリアルな空間が立ち上がる。ただの点の集合ではなく、質感や光の雰囲気まで含んだ、"実際の風景そのもの"に近いデータになるのだ。
実際に、どう使うのか
では、この3DGSを、実際の制作でどう使っているか。
いちばん多いのは、周辺環境をスキャンして、背景として使うケースだ。かつて手作業で一つひとつ作っていた周辺の街並みを、現地でスキャンするだけで、リアルな背景として取り込める。あの「重荷」だった作業が、大幅に軽くなる。(スペースラボの3Dスキャン・現場調査代行サービスでも、この技術を実務に取り入れている。)
さらに、簡単な検証なら、スキャンした3DGS空間の中に、建物のOBJ(3Dモデルデータ)を配置してしまうこともある。「この場所に、この大きさで建てたら、どう見えるか」——それを、実際の周辺環境データの中で、その場で確かめられる。BIMや3Dデータを、スキャンした現実の空間に重ねることで、「この場所に、こう建つ」というイメージが、圧倒的なリアリティで伝わる。
これは、パースの説得力を根本から変える。想像で描いた背景ではなく、"本物の周辺環境"の中に建物が立ち上がるのだから。まさに、現地に行かずして、その場に建物を建ててみる技術だ。
こだわりは「実寸の精度」
実務で3DGSやスキャンを扱ううえで、私が最もこだわっているのが、実寸の精度だ。
見た目がリアルなだけでは、検証には使えない。大きさや位置を正確に測れてこそ、「この場所に、この大きさで建つ」という検証が意味を持つ。だから、スキャンデータがどれだけ現実の寸法に忠実かは、決定的に重要になる。
この点で、私が実用的だと感じているのが、XGRIDS社の機材だ。理由は明確で、ブラウザ上で寸法を測っても、誤差が1cm以内くらいに収まるからだ。この精度は、実務で使ううえで十分に信頼できる。
そして、もうひとつ見逃せないのが、そもそも「ブラウザ上で寸法を測れる」こと自体が、他社にはない強みだという点だ。多くのメーカーは、ブラウザ上で手軽に計測する仕組みを用意していない。スキャンしたデータを、専用ソフトに読み込まなければ測れなかったりする。その点、ブラウザ上でサッと寸法を確認でき、しかもその精度が1cm以内——これは、現場での使い勝手を大きく左右する。
リアルに"見える"だけの技術は多い。しかし、リアルに"測れる"技術は、まだ限られている。ここが、実務で3DGSを使いこなすうえでの、隠れた勘所だ。
「作らない」という進化
3Dスキャンと3DGSがもたらした変化を、ひとことでまとめるなら、こうなる。
それは、「いかに上手く作るか」ではなく、「いかに作らずに済ませるか」という進化だ。
パースの技術は、長らく「どれだけリアルに作り込めるか」を追求してきた。しかし3DGSは、逆の発想を持ち込んだ。本質ではない部分——敷地の外側、周辺の環境——は、もう手作業で作らなくていい。現実をそのままスキャンして持ってくればいい。そして、浮いた時間と労力を、本当に見せたい「これから建つ建物」の表現に、集中して注ぎ込む。
次章で語るAIの話とも、根っこは同じだ。本質ではない部分を技術に任せ、人間は本質に集中する。3DGSは、その流れを、周辺環境という領域で実現した技術なのだ。
行かずに、その場に建てる。作らずに、現実を持ってくる。パース制作は、そういう新しい段階に入りつつある。
第13章 AI×CGのハイブリッド制作
——「脅威」ではなく、「解放」だと思っている理由
要点: 画像生成AIは、建築CGパース制作にとって脅威ではなく「解放」である。設計者が設計していない周辺環境(空・植栽・にぎわい)の制作に工数の大半が消えていたが、AIはこの部分を高速化する(周辺環境制作が3日→半日に短縮)。ただしAIに任せるのは60〜80点までで、そこから先は人間が仕上げる。この線引きができるプロだけが、AIで本当の時短を実現できる。
業界への打撃? 私の見方は逆だ
画像生成AIの台頭について、建築CG業界の中では「仕事を奪われる」という声をよく聞く。気持ちはわかる。精度が上がるにつれて、その不安は現実味を帯びてくる。
ただ、私の見方は少し違う。むしろ肯定的だ。
理由を話す前に、まずCGパース制作の現場で長年感じてきたある「矛盾」について話したい。
設計者が設計していない部分に、工数の大半が消えていく
建築CGパースの仕事において、クライアントである設計事務所が本当に見せたいものは何か。それは当然、「自分たちが設計した建物」だ。
ところが実際の制作現場では、その建物を「魅力的に見せるための演出」に膨大な時間がかかる。周辺の建物、道路、植栽、空、光の加減——設計者が設計したわけでも、施主が求めたわけでもない部分だ。それでも、それらがなければ絵として成立しない。
写真素材で合成できればまだいい。素材が使えない場合はCGで一から作ることになる。しかも皮肉なことに、周辺環境の制作工数が、建物本体よりも高くなることがある。
商業空間のパースも同じだ。たとえば商業施設の共用部を設計する案件では、施主は「どんなテナントが入るか」まで含めて空間をイメージしたい。となると、共用部だけでなく、そこに入る複数のテナントの内装まで作り込む必要が出てくる。結果として、制作コストが跳ね上がる。しかもその跳ね上がった部分は、設計事務所が設計した範囲の外にある。
これが長年のジレンマだった。本来集中すべき「設計された空間の表現」に、思うように時間をかけられない。
AIが解放してくれたのは、まさにその部分だった
画像生成AIの登場で、このジレンマが一気に変わりつつある。
AIが得意なのは「なんとなく」を素早く形にすることだ。雰囲気のある空、にぎわいを感じさせる周辺環境、複数のテナントが入ったショッピングモールの共用部——こういった「演出のための素材」を、驚くほど短時間で生成できるようになった。
具体的な数字で言うと、以前は周辺環境の制作だけで3日かかっていたものが、今では半日程度になった。それだけ時間が浮けば、本来やるべき「設計された空間をいかに魅力的に見せるか」に集中できる。クライアントにとっても、コストが下がるという直接的なメリットになる。
ただし、「誰でも半日になる」わけではない
よく問い合わせをいただく。「AIを使えば自分たちでもパースが作れるようになりますか?」と。
答えは「できる」だ。ただし、正確に言うなら「ずっと触り続けている人間なら、できる」だ。
普段使わない人がいきなり触っても、フィットするものを作るのには結局時間がかかる。これが現実だ。AIは使えば使うほど、どこに使うべきかの感覚が磨かれる。逆に言えば、その感覚がなければ、時短にはならない。
我々が時間を短縮できているのには、明確な理由がある。それは、AIで100点を狙おうとしていないからだ。
AIに任せるのは60点から80点まで。そこから先は人間が手を動かした方が早い。この線引きができているから、全体の工数が下がる。AIをすべての答えとして使おうとすると、逆に時間がかかる。
CGのプロがAIを使うのと、AIだけでCGを作ろうとするのは、まったく別の話だ。
AIが生んだ「新しい役割」——施主と設計者の間に立つ翻訳者
「なんとなくイメージはあるんですけど、それを絵にしてもらえますか?」
以前はほとんどなかったこの依頼が、ここ最近明らかに増えている。お店を作りたい、建物を建てたい、でもまだ設計者には頼んでいない——そういう段階の施主から、「まず絵にしてほしい」という相談が来るようになった。
従来の流れはこうだった。施主が設計者にヒアリングしてもらい、設計者がデザインを起こし、パースを見て議論が始まる。ところがここに、根本的な難しさがある。施主が設計者に伝えられるのは「言葉」だ。しかし言葉だけでは、頭の中のイメージを正確に伝えることはできない。
さらに問題がある。設計者は「なんとなく」を提案することができない。設計者の提案には責任が伴う。出したものは「設計案」として受け取られる。だから必然的に、制約条件——予算、面積、納期、法規——を踏まえた上で、ある程度詰めた状態で出さなければならない。そうなると工数がかかる。
一方、施主が本当にやりたいことは何かというと、制約条件は一旦横に置いて、自分のイメージをまず誰かに見せたいということだ。ここに明確なすれ違いがある。施主は「絵のある言葉」で伝えたい。設計者は「責任のある提案」として出さなければならない。どちらも悪くない。でも、その間を埋めるものがなかった。
AIはそこを変えた。「なんとなく」を、驚くほど低いコストと短い時間で形にできる。
整理するとこういうことだ。CGは「意図したことを、正確に反映できる」ツールだ。裏を返せば、意図しなければ作れない。すべてに工数がかかる。AIは「なんとなくを、素早く形にできる」ツールだ。細部のコントロールは苦手だが、雰囲気や方向性を掴むのは得意だ。
この二つは競合しているのではなく、使う場面が違う。施主のイメージを形にする初期段階はAI。設計が固まってきてから正確に表現するのはCG。そしてその間を繋ぐ翻訳者として、私たちが立つ。これが今、少しずつ見えてきた新しい役割の形だ。
第14章 見る力・感性・言語化の育て方
——「なんとなくかっこいい」を、超えていく
要点: リアルに描けることは土台にすぎず、見る人を魅了するには「見る力」と「言語化する力」が必要になる。「なぜ良いのか」を要素に分解して言葉にできて初めて、自分の絵をロジカルに改善でき、AIにも的確な指示を出せる。見る力は才能ではなく、良いものを数多く見て比較する蓄積によって育つ。
これが最後の章になる。技術やツールの話をひと通りしてきたが、最後に、それらすべての土台になる、いちばん大切なことを話したい。「見る力」の話だ。
リアルに描けるだけでは、足りない
ここまで、パースをリアルに見せるための技術をいろいろと語ってきた。光、素材、フォトリアル、崩しの技法——だが、最後にはっきり言っておきたいことがある。
リアルに描けるだけでは、足りない。
リアルさは、あくまで土台だ。その上で、見る人を魅了する絵を作れなければ、パースとしては半分でしかない。そのためには、カメラマンが持っているような技術——画角、照明、アングル、被写界深度で主題を際立たせる力——が必要になる。そして、その技術を支えているのが、「見る力」だ。
デザイナーと同じくらい、モノを見る力がいる。指示された通りに描くだけの人間で終わるか、それとも設計者と一緒に案件を進めるパートナーになれるか。その分かれ目もまた、この「見る力」にある。
では、この見る力は、どうやって育てるのか。
スペースラボの「写真プレゼン」
私たちの会社では、チームミーティングの中に、少し変わった時間を設けている。
スタッフ一人ひとりが、自分が「良い」と思った写真やパースを持ち寄って、それをプレゼンするのだ。ただ見せるだけではない。「なぜ、これが良いと思ったのか」を、言葉にして説明してもらう。
これは、単なる鑑賞会ではない。「何が良いのかを言語化する」ための、特訓なのだ。
なぜ、言語化にこだわるのか。理由ははっきりしている。「なんとなくかっこいい」のままでは、絵を改善できないからだ。
「なんとなくいい」で止まっていると、いざ自分の絵を直そうとしたとき、どこを修正すればいいのか、どこをブラッシュアップすればいいのかが、まるでわからない。結果、無鉄砲に手を動かすことになる。当てずっぽうで、良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれない。これでは、成長しない。
構図がいいのか。陰影の付け方がいいのか。鏡面の量が絶妙なのか。素材感の表現が優れているのか——「良さ」を要素に分解して、言葉にできるようになる。すると初めて、自分の絵に対しても「ここをこう直せば良くなる」と、ロジカルに判断できるようになる。感覚ではなく、解釈で絵を作れるようになるのだ。
言語化は、AIを使いこなす力になる
そして、この「言語化の力」は、これからの時代、決定的に重要になる。
なぜなら、言語化ができるようになると、AIを活用しながらパースを描けるようになるからだ。
考えてみてほしい。AIに指示を出すには、言葉が要る。「なんとなくかっこよくして」では、AIは動かない。「この光をもう少し柔らかく」「この素材の反射をこう変えて」「この構図をこう調整して」——自分の頭の中にある「良さ」を、具体的な言葉に翻訳できて初めて、AIは強力な相棒になる。
第13章で、AIは「60〜80点までを任せる道具」だと話した。その線引きも、指示も、すべては「何が良くて、何が足りないか」を言語化できることが前提になっている。つまり、見る力を鍛え、言語化を鍛えることは、そのままAI時代を生き抜く力に直結しているのだ。
「なんとなく」で描いてきた人は、AIも「なんとなく」でしか使えない。言語化できる人は、AIを自在に操れる。この差は、これから決定的に開いていくと思う。
見る力は、「数」で育つ
では、その土台となる「見る力」そのものは、どうすれば育つのか。
私の答えは、シンプルだ。とにかく、数だ。
何が良くて、何がダメなのか。それを、数多く知ること。良いパース、良い写真、良い空間を、とにかくたくさん浴びる。SNSでも、写真展でも、絵画展でも構わない。物理的な光の性質、照度、素材の反射率——そういった知識も、あわせて学んでいく。
数多く見ていくうちに、あるとき「共通項」が見えてくる。「良いとされるものには、こういう要素が共通している」というパターンが、自分の中に蓄積されていく。そうやって、良いものを吸収していく。見る力とは、この蓄積そのものなのだ。
ミシュランの三つ星の話
このことを、私はよく料理に例えて話す。
たとえば、ミシュランの三つ星レストランで食事をしたとする。でも、そもそも普段からいろいろな料理を食べ慣れていない人がそこで食べても、その味の本当の良さは、実はわからない。「美味しい」とは思うかもしれないが、「なぜこれがそんなにすごいのか」が、わからないのだ。
なぜか。比較する材料が、自分の中にないからだ。
たくさんの店を食べ歩いて、いろいろな味を知っている人は、その三つ星が「何がどう違うのか」を、はっきり感じ取れる。差別化のポイントがわかる。だからこそ、その良さが本当にわかる。
パースも、まったく同じだ。良いものの「良さ」を理解するには、比較するための材料が要る。その材料が少なければ、そもそも良し悪しを判断することすらできない。数多く見て、比べて、初めて「良さ」がわかるようになる。センスとは、才能ではなく、この蓄積と比較の量なのだと、私は思っている。
見て、言葉にして、また見る
最後に、この本全体を貫いてきたことを、あらためて振り返りたい。
第1章で、パースは「伝えるための言語」だと書いた。図面が読めない施主に、空間を伝えるための言語だと。
だが、この最終章まで来て、もうひとつの「言語」の話にたどり着いた。作り手自身が、「良さ」を語るための言語だ。
パースという絵で空間を伝えるためには、まず作り手が、良い空間・良い絵とは何かを、自分の言葉で語れなければならない。見て、なぜ良いのかを言葉にして、また見る。この繰り返しの先にしか、人を魅了する一枚は生まれない。
技術は進化する。ツールも変わる。AIも来た。3DGSも来た。でも、どんなに道具が変わっても、変わらないものがある。それは、良いものを見抜く目と、それを語る言葉だ。
これだけは、AIには任せられない。数多く見て、比べて、言葉にして、自分の中に「良さ」の基準を育てていく。その地道な積み重ねこそが、25年経った今も、私がこの仕事でいちばん大切だと信じていることだ。
見る力を、育ててほしい。そして、その目で見た世界を、あなたの言葉で語れるようになってほしい。パースという仕事の面白さは、きっと、その先にある。
第15章 AIの時代に生き残るデザイナーとは
——「3.6」では、もう足りない時代が来る
要点: 「デザインをする」という行為は、ゼロからイチを生む「デザイン考案」と、それを図面に落とす「デザイン作業」に分けられる。AIが得意とするのは既存要素を組み合わせる作業や標準的に良いデザインであり、この領域は今後AIに置き換わっていく。生き残るのは「アーティスト型」「スーパーコネクター型」「ロジック型」——いずれも“あなたでなければならない理由”を持つデザイナーである。
この章は、CGパース制作の話から少し離れる。ただ、25年間デザイナーたちの仕事を間近で見続けてきた立場から、どうしても伝えたいことがある。賛否はあると思う。でも、それを承知で書く。
デザインを「考案」と「作業」に分けて考えてみる
「デザインをする」という言葉の中には、実は2つのまったく異なる行為が混在している。
ひとつは「デザイン考案」——ゼロからイチを生み出す行為。コンセプトを立て、空間の方向性を決め、誰も見たことのないものを形にする力。これこそがデザイナーにしかできないことだ。
もうひとつは「デザイン作業」——考案されたものを実際に図面に落とし、図面を書き、寸法を拾い、工程を管理する行為。これは習熟と訓練によって磨かれる技術であり、かつては「デザイナーの仕事」として一体化されていた。
問題は、この2つが長年ずっと同じ肩書の人間によって、渾然一体のまま行われてきたことだ。デザイナーは本来、考案に集中すべき存在だ。しかし現実には、作業に時間を奪われ、考案に使える時間がどんどん削られていく。
「食べログ3.6」の世界が、AIに飲み込まれる
少し遠回りな例えをしよう。
食べログの評価で「3.0〜3.6」は標準的に良いお店。「3.6〜4.0」は「ここ美味しいな」と思わせる水準。そして「4.0超」は「また絶対来たい」と思わせる、飛び抜けた店だ。
日本のデザイナーは世界的に見て、この「3.6〜4.0」の水準にいると思っている。細部まで丁寧で、クオリティが高く、誰が見ても「良い仕事だな」とわかる。
ただ、この「3.6〜4.0」の領域が、近い将来AIに飲み込まれると私は思っている。AIは既に「標準的に良いデザイン」を驚くほど短時間で生成できる。「平均的に整っている」「なんとなくかっこいい」——そのレベルであれば、AIの方が速く、安い。
「コラージュのデザイン」は、必ず淘汰される
我々の仕事で、こういう場面によく遭遇する。
設計事務所との打ち合わせで、図面だけでは伝わらない部分をビジュアルで補足してもらうことがある。ところが時に、図面にネットから拾った画像がたくさん貼り付けられていて、デザイン自体がコラージュのようになっていることがある。「この照明のイメージで」「この壁のテクスチャで」「この空間の雰囲気で」——それぞれは既存の誰かのデザインだ。
これは今後、確実に淘汰される。なぜなら、既存のものを組み合わせるコラージュ作業こそ、AIが最も得意とすることだからだ。
巨匠の図面が教えてくれたこと
会社を設立した頃、ある大御所デザイナーから依頼を受けた。
図面はびっちり揃っていた。「これでパースを描いてほしい」と言われた。しかし、図面を見ても、正直どういうものになるのかが全くわからなかった。それは後にも先にも、その依頼だけだった。
間接照明の納まりが今まで見たことのない独自の詳細で描かれていた。光がどう当たるのか見当がつかない。さらにその面の素材がオリジナル素材のため、反射も光沢も予測できない。恥を忍んで「どんな光になるんですか?」と聞くと、写真を渡された。それはその巨匠が以前手がけた竣工写真だった。
そこに写っていたのは、他では絶対に見たことのない光だった。
これが示しているのは何か。ネットで拾える画像ではサンプリングできない、唯一の表現がそこにあったということだ。AIでさえ、その光を再現する参照元を持っていない。これこそが「依頼される理由」になる。これがデザイナーの、本当の強さだ。
生き残るデザイナーの3つの形
AIが「3.6〜4.0」を担うようになる時代、デザイナーに残された道は何か。私の見立てでは、3つの方向性がある。
ひとつは「アーティスト型」——誰も見たことのないものを作れる人。既存のものの組み合わせでは絶対に辿り着けない、独自の世界観を持つ人。先の巨匠のような存在だ。
もうひとつは「スーパーコネクター型」——クライアントの意図を誰よりも深く汲み取り、それを形にできる人。クライアントの頭の中にある「まだ言語化されていないもの」を見つけ出し、最適な形で提案できる力だ。
そして3つ目は「ロジック型」——AIがまだ認識していない独自の論理や構造を持って設計できる人。直感や感性だけでなく、再現性のある思考の枠組みを持つ人だ。
共通しているのは「あなたでなければならない理由がある」ということだ。
デザイン考案に、もっと時間を
私はデザイナーになれなかった人間だ。ゼロからイチを生み出す力が自分にはないとわかっていたから、サポートする側に回った。
だからこそ、デザイナーが作業に追われてその力を発揮できていない現状が、本当にもったいないと思う。
AIが作業を肩代わりし、CGが制作工数を削減し、BIMが施工との連携を自動化していく。これらはすべて、デザイナーが「考案」に使える時間を増やすためのものだ。
ツールが進化した先に見えるのは、デザイナーの仕事が消える未来ではなく、デザイナーが本来の力を発揮できる環境だと思っている。
——了
早わかり:パースの種類と特徴(比較表)
本文で解説した4種類のパースを、一覧で整理します。
| 種類 | 主な目的 | 環境制作の比率/特徴 | 難しさのポイント | 費用の傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 外観パース | 建物の外観と、その場所で生まれる体験を伝える | 環境が絵の8〜9割 | 空・光・情景の表現。空の選択に正解がない | 中〜高 |
| 内観パース | 室内空間の魅力・質感・光を伝える | 複数光源の干渉が中心 | 外光と室内照明の両立。シンプルな空間ほど難しい | 中 |
| 鳥瞰パース | 計画全体像・周辺との関係を俯瞰で伝える | 制作時間の7〜8割が周辺環境 | 情報量は最大だが光の演出が効きにくい | 高 |
| 広告用パース | 媒体上で目に留まらせ、問い合わせに繋げる | 媒体特性が全てを決める | 周囲の掲載との差別化を計算する | 用途による |
主要用語ミニ辞典
本文に登場した専門用語を、簡潔に定義します。
建築パース(建築CGパース):完成した建物の姿を視覚的に表現した図。設計者と施主が同じ空間をイメージするための共通言語。
フォトリアル表現:現実の写真と見分けがつかないレベルまで作り込んだCG表現。「いかに自然に崩すか」が鍵になる。
レンダリング:作成した3Dデータを、光や質感を計算して一枚の絵として出力する工程。
リアルタイムレンダリング:計算をほぼ瞬時に行い、その場で絵を表示する技術。Twinmotion・D5・Unreal Engineなどが代表的。
BIM(ビム):建物の3Dモデルに部材や設備の情報を紐づけ、設計・施工・管理を一気通貫で行う仕組み。RevitとArchiCADが二大巨頭。
3DGS(3Dガウシアンスプラッティング):点群とフォトグラメトリの長所を併せ持つ3Dスキャン技術。現実の空間を滑らかでリアルに再現できる。
モデラー/レンダラー:モデラーは建物の「形」を3Dで作るソフト、レンダラーはその形に光と質感を与えて絵に仕上げるソフト。役割が異なり、組み合わせて使う。
よくある質問(FAQ)
Q. 建築パースとは何ですか?
建築パースとは、完成した建物の姿を視覚的に表現した図のことです。空間の広がり、光の入り方、素材の質感、天井の高さなど、図面では伝わりにくい要素を一枚の絵に込め、設計者と施主が同じ空間を同じ解像度でイメージするための「共通言語」として機能します。施工前に認識のズレを解消することで、完成後の手戻りを防ぐ役割を持ちます。
Q. 建築パースの制作費用の相場はどれくらいですか?
費用は目的・作業量・演出レベル・納期によって変動し、一律ではありません。スペースラボの料金目安では、スピードとコストを重視するベーシックプランが内観75,000円〜・戸建て外観100,000円〜、広告やLPなどハイエンド用途のプレミアムプランがその約2倍です。AIを活用したイメージ制作は1枚50,000円〜で対応しています。
Q. パースの修正には追加料金がかかりますか?
スペースラボでは、よほど大きな設計変更でない限り、通常の修正で追加料金をいただくことは基本的にありません。当初いただいた予算の範囲内で仕上げることを優先しています。構図の作り直しやカット数の追加など、予算を大きく超える変更が必要な場合は、作業に入る前に必ず費用を事前確認したうえで進めます。
Q. AIを使えば自分でもパースを作れますか?
方向性を素早く形にする初期段階では、AIは非常に有効です。ただし、細部まで作り込んだ実用的なパースを短時間で仕上げるには、AIを日常的に使いこなす経験が必要です。プロがAIを使うのと、AIだけでCGを作ろうとするのは別の話で、AIに任せるのは60〜80点まで、そこから先は人間が仕上げるという線引きが、時短と品質の鍵になります。
Q. 外観パースと内観パース、どちらが難しいですか?
どちらにも異なる難しさがあります。外観パースは、建物そのものよりも空・光・植栽といった環境の作り込み(絵の8〜9割)が質を左右します。内観パースは、外光と室内照明という複数の光源が干渉し合う複雑さがあり、特にモノの少ないシンプルな空間ほど、質感と光だけで成立させる高い技術が求められます。
Q. 3DGS(3Dガウシアンスプラッティング)とは何ですか?
3DGSは、点群とフォトグラメトリの長所を併せ持つ新しい3Dスキャン技術です。ひとつひとつの点が色や広がりの情報を持ち、集まることで滑らかでリアルな空間を再現します。現実の周辺環境をスキャンしてそのまま背景に使えるため、従来手作業で行っていた環境制作の工数を大幅に削減できます。
Q. 鳥瞰パースはなぜ費用が高くなりやすいのですか?
鳥瞰パースは建物本体だけでなく、周辺の街並みや複数棟の関係性まで緻密に作り込む必要があり、制作時間の7〜8割を周辺環境の構築が占めるためです。情報量は最大ですが、俯瞰視点では光や影の演出が効きにくいという特性もあります。そのため、制作前に「どこまで作り込むか」をご相談し、コストを調整することが重要になります。
Q. パースを発注するとき、どのソフトで作られるか気にすべきですか?
発注する側がソフトを指定する必要は基本的にありません。制作会社が用途に応じてモデラー(形を作るソフト)とレンダラー(絵に仕上げるソフト)を組み合わせて選びます。スペースラボでは、高品質な映像はUnreal Engine 5、通常制作はD5、クライアントとの連携が必要な場面ではTwinmotionと、目的に応じて使い分けています。
Q. 短納期でもパース制作は依頼できますか?
可能です。特に商業内装案件では、作業開始から3〜7日程度で仕上げることも珍しくありません。ただし、納期が非常にタイトな場合や土日祝日の稼働が必要な場合は、通常料金から20〜50%アップの特急料金が発生することがあります。時間に余裕を持って発注いただくほど、費用は抑えられます。
Q. 費用対効果の高いパースを発注するには、どうすればよいですか?
「何のために、どこまで必要か」を発注前に相談することが最も大切です。社内検討用ならスピード重視のベーシック、物件を売るためのメインビジュアルなら作り込んだプレミアム、というように、目的に応じて予算を最適化するのが理想です。手元の図面やイメージ、仕様書を添えてご相談いただくと、その案件にとっての最適点が見えてきます。
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